『東京漫遊談笑 NO46』
【 連れの彼女を無けなしのお金
で送る若者 】
《 ここは、華やいだ飲食界隈の
六本木一帯だべな 》
《 まだまだ、老若男女が、一杯
いだ 》
《 何時もながら、人は溢れんば
かりいる 》
《 何時もの客待ち場所で、お客
を待つとするか 》
《 トントンと、ドアを叩く音 》
〚 私の心の中 〛
誰か、ドアを叩いている
。おぉ~、アベックの
若者がいる。
お客だな。
〚 私 〛
どうぞ、ドアを開けます
から、お乗りください。
お待たせしました。
どうぞ。
〚 お客様 〛
お願いします。
246を真っすぐで桜新
町に行ってください。
先は、旧道で。
その後、亀戸にお願い
します。
〚 私 〛
分かりました。
では、メータを入れます
。
お願いいます。
〚 お客様 〛
ここは、タクシー乗り場
ですか。
〚 私 〛
このバス停は、午後10
時を過ぎるとタクシー乗
り場になります。
〚 お客様 〛
どこで、タクシーを乗っ
たらよいのか、分からな
くて。
〚 私 〛
六本木交差点は、人が多
くて危ないから、この場
所で、私は、お客を待つ
ことにしています。
交差点から約30メート
ルくらい離れていますが
、この距離は、お客の選
別になると思っています
よ。酔って急ぐ人は、六
本木交差点で無理して乗
りますが、余裕を持った
方は、この距離を歩きま
す。この距離は、酔いカ
ゲンを選別するのに役立
っていますよ。
〚 お客様 〛
そのとおりですね。面白
い。なかなかのことです
ね。
〚 私 〛
これが、実際ですよ。
そうこう言ってる間に、
桜新町に着きますよ。
〚 お客様 〛
あぁ~、その先でいいで
す。ありがとうございま
した。
〚 私 〛
ありがとうございました
。
メーターは、ここで切り
ますか。
運賃は、・・・・円になりま
す。
忘れ物に気を付けて、降
りて下さい。
ありがとうございました
。
この後、亀戸に行きます
。
《 女性のお客が、降りる 》
〚 お客様 〛
もう、彼女から見えなく
なりましたか。
〚 私 〛
えぇ~、角を回りまし
たから、もう見えません
。
どうかしましたか。
〚 お客様 〛
実は、お金が無くて、
この先で降ろしてく下
さい。
すみません。
あとは、亀戸まで歩い
て帰りからますから。
〚 私 〛
最後の手持ち金で、彼女
を送ったのですか。
偉いね、お客さんは。
ましてや、この2,3時
に深夜に、亀戸まで歩こ
うとは。
お心構えが立派です。
亀戸まで20キロは有り
ます。大変なことです。
私も車庫が、亀戸です。
もう帰庫する時間です。
座席の後ろで、ひっくり
返っていて下さい。
回送で行きますから。
近くまで、お送りします
から。
心配はいりません。
〚 お客様 〛
えぇ~、そんな。
私は、役者見習いをして
います。ここに、名前を
書いておきました。
手書きのメモですが、こ
の御恩は、決して忘れま
せん。
〚 私 〛
いゃ~、御恩だなんて。
その手書き名前もいりま
せん。俳優として立派に
ご活躍下さい。
心配ご無用。
早いもので、もう着きま
す。駅の近くでいいです
か。
それでは、ありがとうご
ざいました。
ここで、失礼します。
〚 私の心の中 〛
世の中捨てたものではな
いな。大切なものに対す
る労りだ。
『東京漫遊談笑 NO47』
【 赤坂界隈を見下ろす昼寝場所 】
《 ここは、赤坂界隈を見下ろす
一帯だべな 》
《 夜の界隈と違って静かな土手
だ 》
《 赤坂・ツインタワーを眼下に
見下ろし、土手の苔の香りが
する山肌のような場所だ 》
《 この場所は、私にとって最高
の休まるお昼の休憩場所だ 》
《 誰もトントンと、ドアを叩く
人はいない 》
〚 私の心の中 〛
土手に添った一間半ばか
りの林道の如きここには
、忙しい東京といえども
誰も、ドアを叩く輩はい
ない、一寝入りに時間を
とろう。
九州の片田舎で産声をあ
げ、地方の田舎町に幼少
の気性を発し、次第に町
中へと移り住み、体力、
知力を競いをして、この
江戸、東京のマッタダ中
の赤坂で、休む。
負けず嫌いの気性は、同
窓等の同胞をなぎ倒し、
世界の学者どもの英知に
挑み、突き進んできた。
まだまだ、先は遠い。
しかし、これまでの秀才
たちの知力を超えなけれ
ばならない。
これをなさなければ、何
も変わらない。
この休憩は。この身を癒
す。人生、寸暇の時だ。
『東京漫遊談笑 NO48』
【 政治家田中角栄という人物 】
《 ここは、日本の政治を動かす
人の集まり場所だべな 》
《 警備の警察がちらほらいるな
》
《 おぉ~、ここは議員さん方が
事務所兼勉強部屋にしている
議員会館だべな 》
《 騒がしいも、ヒッソリとして
、誰もトントン、ドアを叩
く人はいないな、時間が遅
いからな 》
《 国会は、政治家田中角栄の
一人に仕切られているよう
だ 》
〚 私の心の中 〛
政治家田中角栄という
人は、我が人生の中で
、川端康成先生への盃
の返礼にと書いた、題
して『金の繁盛』とい
う、私の処女作の骨子
を感じさせた政治家で
ある。
『これからの世の中は
、お金の価値観が支配
的になり、あらゆる物事
が、立場、地位によらず
、お金によって判断され
る世の中に変化していく
。
持つものは、持たざる者
を支配していく。
ときとして、人々の名声
、名誉も、この範疇に
属することとなろう。』
という骨子を主題にして
書きつづった書き物であ
る。
この書物は、完成の日に
、老川端康成先生は、
お亡くなりになり、主の
いない本となり、日の目
を見ずに我が手で燃し
てしまった。
あの政治家田中角栄とい
う、引き金の人物を、こ
こに書く事態になろうと
は。
《 議員会館から、国会議員風の
紳士が、忙しい様子で、吾輩
の車を目掛けて来る 》
〚 私 〛
さぁ~、どうぞ。先生
、勢いが良いようで、
どうされましたか。
〚 お客様 〛
目白の角さんのお宅に
頼む。
〚 私 〛
先生、どうかなさいま
したか。元気がよくて
。
〚 お客様 〛
今日は、思う存分に、
あの角栄さんに言おう
と考えてな。
日頃のウップンを話し
しようと思ってな。
私は、同じ党なれど、
角さんを意見したくて
行くのだよ。
〚 私 〛
すごい、ケンマクです
ね。同じ政党でも反対
の主張を持たれている
んですね。
〚 お客様 〛
おぉ~、そうだ。
ここは、空車も通らな
いので、待っていてく
れ。30分位だ。
いいかな。
〚 私 〛
えぇ、お待ちしています
から。
〚 お客様 〛
頼むぞ。
〚 私の心の中 〛
どうなることやら、し
かし、待っていよう。
同じ党内でも、主張の
違う先生がいても、お
かしくない。
あの勢いは、田中角栄
先生の街頭演説の勢い
だったな。
とんでもない事態に遭
遇することになったな
。怒鳴り合ったりしな
いだろうな。おゃ~、
先生が戻ってくる。
『 私 』
おぉ~、無事でしたか。
良かった。
〚 お客様 〛
待たせたな。議員会館に
行ってくれ。
〚 私 〛
静かですね。
どうされましたか。
あのケンマクは。
全く、様子が変わられ
ましたが。
殴り合いになるのでは
と、心配しましたよ。
〚 お客様 〛
いゃ~、角さんは、人物
が大きいね。
私が太刀打ちできる人
ではないよ。
大きすぎてね。
〚 私 〛
そして、どうされました
。
〚 お客様 〛
彼は、良く来てくれた
と、私の手を握り締め
て、感謝の気持ちを表
してくれたよ。
口を開こうとすると、
また、一段と強く私の
手を握り締めて、よく
来てくれたと感謝を示
してくれたよ。
私が、再び口を開こう
とすると、涙を流しよ
く来てくれたと感謝を
示してくれたよ。
決して私に口を開かせ
なかったよ。
角さんの人物の大きさ
に、負けたよ。私の太
刀打ちできる相手では
ないよ。
人物が、大きすぎてね
。まぁ~こういうこと
だよ。
あぁ~、会館の入り口
でいいよ。ありがとう。
〚 私 〛
ありがとうございまし
た。
運賃は、・・・・円になり
ます。
お忘れ物に気を付けて
下さい。
〚 私の心の中 〛
今日は、政治家田中角栄
の人物を知る機会に恵ま
れたな。
『東京漫遊談笑 NO49』
【 羽田線モノレールの技術者 】
《 ここは、羽田空港へ直結した
モノレールの発着する浜松
町駅だべな 》
《 人の流れが、多い駅だな 》
《 貿易センタービルが、たか
くそびえている。この東京
で、霞が関ビル、池袋サンシ
ャインビル、そしてこの貿易
センタービルと続いて建 設さ
れた高いビルの象徴だ 》
《 この浜松町駅の先の竹芝には
、日本で一番古い産業博物
館会場がある。日本の産業
の草分けだ。その後、晴海
展示場、幕張メッセ、ビッ
クサイトと、次第に、会場
は大きくなり、日本の産界
の拡大発展と共に変化して
いる。この地は、人的にも
物質的にも日本の大動脈の
象徴と言えよう 》
《 さぁ~、心高らかに、乗客
を迎えよう 》
〚 私の心の中 〛
おぉ~、バス停の先で
俺を手招きしている。
やけにキョロキョロし
ているな。
人の顔ばかり見ている
。探している方でも
いるのかな。
〚 私 〛
さぁ~、どうぞ。
どうかしましたか。
誰かを探しておられま
したか。
〚 お客様 〛
金物通りの岩本町へ、
お願いします。
〚 私 〛
お客様、どうかなさい
ましたか。
元気がなくて。
〚 お客様 〛
いやぁ~、昔お世話に
なった上司を探してい
ましてね。
私は、今は、資材調達
担当にまわされていま
すが、あのモノレール
の建設に携わった者で
すが、当時の上司の取
り取締役部長を探して
います。
あのモノレールは、建
設当時、赤字路線でし
た。その赤字路線を担
当した取締役部長は、
悪評の中、責任を取り
、寂しく引退しました
。
取締役部長は、その後
も行方知れず、連絡の
取り様がありません。
オリンピックが近づい
てきたら、飛行機時代
が来るとみなされ、あ
のモノレールを再検討
しろということになり
、会社、政府とも、モ
ノレールの再調査をい
たしました。その結果
は、当時、世界に類を
見ない簡素で高度な技
術が施されていると分
かり、あの取締役部長
を探せということにな
り、60才代取締役部
長を探しています。
街を歩くときは、常に
部長を探し、キョロキ
ョロしています。
運転手さんも、もし、
心当たりの人にあった
ら会社に連絡を取るよ
う、伝えて下さい。
〚 私 〛
えぇ~、機会を得ました
らそうさせていただきま
す。
しかし、感無量の話しで
すね。心が痛みます。
私も、嘗ては物理、工
学のとでしたから、そ
の心底、痛み入ります。
是非そうさせて頂きます
。
〚 お客様 〛
岩本町から東神田の方
へ行ったところです。
〚 私 〛
ありがとうございました
。
運賃は、・・・・・円になり
ます。
お忘れ物に気を付けて
下さい。
60才の取締役部長の
件、確と承りました。
〚 私の心の中 〛
今日は、大変なお役目を
いただいた。
技術に生きるものの宿命
だ。技術の如何より、世
評の広まりに一 時的に敗
北の誹りを受けなければ
ならない。
科学に理解のある誹りを
。
『東京漫遊談笑 NO50』
【 勝鬨橋を最初に渡った吾人】
《 ここは、銀座から真っ直ぐの
隅田川最期の橋だ 》
《 船舶の往来に合わせ、開閉が
できる橋として教科書にも写
真が載っていた橋だ 》
《 貿易センタービルが、たかく
そびえている。この東京で、
霞が関ビル、池袋サンシャイ
ンビル 》
《 小学生の頃を思い出す 》
〚 私の心の中 〛
おぉ~、銀座四丁目バス
停の前で手を挙げ、手招
きしている。
貫禄のある年配の方だ
な。
〚 私 〛
さぁ~、どうぞ。お乗り
ください。
〚 お客様 〛
月島へ、お願いします。
〚 私 〛
分かりました。
真っ直ぐで、勝鬨橋を
渡っていきますが、よ
ろしいでしょうか。
〚 お客様 〛
えぇ~、そうしてくだ
さい。
〚 私 〛
勝鬨橋の感性は、小学生
の頃、教科書に出ていま
したよ。
〚 お客様 〛
そうかね。その勝鬨橋を
最初に渡った人は、誰だ
と思う。
〚 私 〛
それは、その当時の知事
か、役人の偉い方でし
ょうね。
参列した方でしょうね。
〚 お客様 〛
う~ん。
私は、その勝鬨橋建設の
現場監督でね。
私は、その開通の出初め
式のエスコート役をし
ていた関係上、来賓の1
~2歩前を歩くことにな
っていたのだ。
従って、勝鬨橋を最初に
渡ったということは、開
通の出初め式のエステー
ト役をしていた私が、最
初に渡った人ということ
になったよ。
〚 私 〛
それは、まさにそうなり
ますね。はぁ、はぁ、は
ぁ。
何か一本取られたようで
すね。
ありがとうございました
。
運賃は、・・・・・円になり
ます。
お忘れ物に気を付けて下
さい。
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