東京漫遊談笑 NO 26 ~ NO 30

『東京漫遊談笑  NO26』

【 忘れ物の起承転結 】

《 レシートをお持ち下さい 》
《 大丈夫だ、いらないよ 》
《 うるさいな、いらないといっ
ているのに 》
《 あぁ~、レシートをマルメて
ゴミバコに捨てた 》
《 この人に何事もなければよい
が 》 

〚 お客様 〛
おぉ~い、行くぞ。
乗れ。        

〚 俳諧人 〛
  ちょっと待て、何人乗る
んだ。この車は、定員五
人だぞ。  
 〚 お客様 〛
  六本木までだよ。
お願い。 頼むよ。

 〚 俳諧人 〛
       今、前のお客を降ろした
ばかりだぞ。
       ドサクサに紛れて乗って
きて。
       乗ってしまったのか。
    定員オーバーだと何も保
証はないからな。
いいな。

 〚 お客様 〛
    お願い。

 〚 俳諧人 〛
    ショウガナイな。後ろは
、頭を低くしてくれよ。
    俺も、警察に捕まりたく
ないからな。
    それでは、メーターを入
れるよ。

 〚 お客様 〛   
    一斉に、お願いします。

 〚 俳諧人 〛    
       降ろしたばかりの、ドサ
クサに紛れ込んで。                   

 〚 お客様連中 〛
       お兄さんも、どお~、一
緒に飲みにいかない。
    〚 俳諧人 〛
       トンデモない。        
 〚 お客様 〛
       そうか。残念だな。
 〚 そのお客様連中の一人 〛
       ツマサキがゴツゴツする
けど。

 〚 俳諧人 〛
    どれどれ、おぉ~、チャ
ック付きの札サイフだ。
       ひぇ~、帯ふうの束2札
にバラ1万円が37枚だ

    237万ある。

 〚 お客様連中 〛
    ひゃ~、凄い。

 〚 俳諧人 〛
        何人いるんだ。私まで8
人もいる。
ひぇ~、こちらも凄い。
    おぉ~い、大変だ。
一人頭30万円だ。

 〚 そのお客連中の一人 〛
       運転手さん、俺達は、こ
れから六本木に飲みにい
くんだ。
    金を拾いに来たんではな
いからな。
    そのサイフは、運転手さ
んに任せるよ。
 〚 俳諧人 〛
    みんな、偉いな。
    よし、分かった。会社に
連絡する。
    カード類が、入っている
から、持ち主は分かるな

    後は、会社からの連絡を
待とう。
 〚 お客様連中 〛
    それでは、お願いします

 〚 俳諧人 〛
    了解したよ。

 〚 お客様連中 〛
    おぉ~、着いたぞ。
降りるぞ。
 〚 俳諧人 〛    
    運賃は、・・・・・円になり
ました。
    お忘れ物に気を付けて、
降りて下さい。
    大金を忘れないようにお
願いします。
    人が多くて、足が、座席
の下までいき、とんだハ
プニングになったけど、
定員オーバーは、次回か
らは、絶対になしだよ。    
 〚 お客様連中 〛
    了解。
 〚 俳諧人の心中 〛
    なかなか、忘れ物の問い
合わせは、ないな。
    全員に、レシートは、渡
してあるけどな。
    もう、2時を回り、ここ
は、友の高橋君の実家の
ある横浜の井戸ケ谷だ。
懐かしいな、横浜の俺の
古巣だ。

《 ピーピー・・・・・ 》
《 会社から電話だ 》

 〚 俳諧人 〛
           忘れ主から連絡がありま
したか。
それは良かった。
    早速、本人に連絡します
 〚 俳諧人 〛から〚 落し主 〛
への連絡
    いゃ~、連絡を待ってい
ましたよ。
          横浜の井土ヶ谷にいます
から、3時半に青山三丁
目のベルコモンズに行け
ますから、そこで、お待
ちします。
宜しいですか。
 〚 落し主 〛
    運転手さんの渡したレシ
ートをゴミバコから3時
間かけて探しました。
やっと見つかり、連絡が
取れました。
助かります。
 〚 俳諧人 〛
    それは、良かったですね

    後程、お会いしてお渡し
します。
 〚 俳諧人の心の中 〛        
    早く着いたな。
《 アベックの二人連れが交差点
にいる 》
《 この運転手さんに送ってもら
えよとしゃべっている 》
 〚 俳諧人 〛
       今、回送で、人を待って
います。
    その後なら、お乗りいた
だけます。
    お乗りになるのであれば
、車内でお待ちください

    寒いから。
《 そうしてもらおうとアベック
の二人連れが乗り込む 》
 〚 俳諧人 〛
       どちらまでお帰りですか
 〚 二人連れ 〛
       北小岩です。いいですか
 〚 俳諧人 〛
       昔、勤めていた会社の小
岩営業所が、鎌倉という
ところにありまして、よ
く知っています。
どうぞ。
 〚 二人連れ 〛
助かります。よろしくお
願いします。
 〚 俳諧人 〛
    忘れ物をした落し主との
待ち合わせです。もうす
ぐきますから。
    あぁ~、来られました。
 〚 俳諧人 〛
    ・・・・・さんですか。
    念のため、お名前とレシ
ートがあれば、お願いし
ます。
    確認させていただきます

    確かに、・・・・・さんですね
。確認しました。
    それでは、サイフをお渡
しします。
 〚 落し主 〛
    サイフから、わしづかみ
の札をとりだして、これ
は、お礼です。
    受け取ってください。
 〚 俳諧人 〛
    とんでもない。
    明日朝の支払いで、お持
ちになっていたお金でし
ょう。
    お礼の分は、もう、後部
座席に、お客様として、
乗って待っておられます

    北小岩と云うことで、6
~7000円んの売り上
げがあり、お礼として十
分です。
 〚 落し主 〛
    助かります。
車を降りるときは、失礼
をして、すみませんでし
た。
以後、気を付けます。
 〚 俳諧人 〛
    それでは、失礼します。
 〚 俳諧人 〛
    では、北小岩に向かいま
    す。
    メーターを入れます。
    お願いします。
 〚 新しいお客様 〛
    待たせていただいて、あ
りがとうございました。
    お願いします。
色々とあるんですね
 〚 俳諧人 〛
    忘れ物の件で、無事にす
みまして、ほっとしてい
ます。
    先程、言いましたが、昔
、チャンピオン交通とい
う会社に 勤めていました
が、その小岩営業所が、
この小岩の鎌倉にあって
、よく来ていましたか
   ら、私には古巣みたいな
   ところですよ。
    深夜は、早いですね。
もう着きましたよ。
    運賃は、・・・・・円になり
ました。
    忘れ物に、気を付けて、
降りて下さい。
    ありがとうございました
 〚 新しいお客様 〛
    ありがとうございました

『東京漫遊談笑  NO27』

【 お坊との忙しい3ケ日間 】

《 お盆の一日目8月13日午前
 9:00だ 》
《 今日から3ヶ日鶴見の曹洞宗
  総持寺のお坊さんとのおつき
 合いだ 》
《 毎年盆暮れのこととはいえ、
 習慣づいてしまったな 》
《 おぉ~きたぞ、午前9:00
 ぴったりだ 》
《 さぁ麻布界隈の路地責めだ 》

 〚 俳諧人 〛
    住職、おはようございま
す。
          今日も1日よろしくお願
いします。        
    〚 お坊様 〛
   おぉ~、待たせたな。
         今日は、この名簿一覧に
添って行くからな。  
 〚 俳諧人 〛
    う~む、相変わらず、麻
布の狭い路地ですね。
分かりました。
    メーターを入れます。
出発進行。
 〚 お坊様 〛
    せまいけど、大丈夫か。
    10分~15分だ。

 〚 俳諧人 〛
    はい、分かっております

        えぇ~、運送屋のトラッ
クが入って来た。
ギリギリだ。
 〚 お坊様 〛
    お供えをいただくが、助
手席を使うよ。

 〚 俳諧人 〛   
    どうぞ。コースは、少し
順番をいれ変えます。

 《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数
軒終わる 》                     
 〚 お坊様 〛
           こちらのお宅は、財閥の
お宅だ。 

 〚 俳諧人 〛
    車も敷地内で回転ができ
る。待機所もある。
    注文取りのお女中が来た
  〚 お女中 〛
    冷たいもの、あったかい
もの。和菓子、洋菓子。
  〚 俳諧人 〛
        気を使わないでください


 〚 お女中 〛
    何を言ってますか。
    お宅様は、お坊様のお連
れの方です。
    ここの主人の大切なお客
様です。
    どうぞ、おっしゃってく
ださい。
 〚 俳諧人 〛
    どうも、どうも、何時も
ながら、行儀、礼節の深
いお振舞い、痛み入りま
す。
ありがとうございます。

 〚 お坊様 〛
    いやぁ~、待たせたな。

 〚 俳諧人 〛
       トンデモない。
    お坊様のお蔭でお菓子、
飲物までいただいていま
す。
 〚 お坊様 〛
    おぉ~、そうか、そうか
。では、こちらをお暇し
ようとしよう。
 〚 俳諧人 〛
    分かりました。

《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数軒
終わる 》   
 〚 お坊様 〛
    こちら様はな、旧財閥の
お宅で、マンション暮ら
しだが仏門でいう、くら
いが高いご一徒様なんだ
よ。
 〚 俳諧人 〛    
    これまで20件近く回り
ましたね。お供えも山盛
です。
    総持寺まで届けますか。

 〚 お坊様 〛
    何時ものように頼む。
私は、この胸の内で十分

    駅でいいから。
 〚 俳諧人 〛
       分かりました。
そうさせていただきます

   運賃は、・・・・・円になり
ました。
       忘れ物に、気を付けて、
降りて下さい。
    ありがとうございました

明日もお待ちしておりま
す。
 〚 お坊様 〛
        明日も、頼んだぞ。
 〚 俳諧人の心の中 〛
       さぁ~、会社に戻ってこ
のお供えを、皆に配ろう


《 お盆の一日目8月13日午前
9:00だ 》
《 今日から3ヶ日鶴見の曹洞宗
総持寺のお坊さんとのおつき
合いだ 》
《 毎年盆暮れのこととはいえ、
習慣づいてしまったな 》
《 おぉ~きたぞ、午前9:00
ぴったりだ 》
《 さぁ麻布界隈の路地責めだ 》 
 〚 俳諧人 〛
    住職、おはようございま
す。
       今日も1日よろしくお願
いします。        

 〚 お坊様 〛
    おぉ~、待たせたな。
       今日は、この名簿一覧に
添って行くからな。  

 〚 俳諧人 〛
    う~む、相変わらず、麻
布の狭い路地ですね。
分かりました。
    メーターを入れます。
出発進行。
 〚 お坊様 〛
       せまいけど、大丈夫か。
      10分~15分だ。

 〚 俳諧人 〛
    はい、分かっております

       えぇ~、運送屋のトラッ
クが入って来た。
ギリギリだ。
 〚 お坊様 〛
    お供えをいただくが、助
手席を使うよ。

 〚 俳諧人 〛   
    どうぞ。コースは、少し
順番をいれ変えます。

《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数軒
終わる 》                     
 〚 お坊様 〛
       こちらのお宅は、財閥の
お宅だ。
    〚 俳諧人 〛
       車も敷地内で回転ができ
る。待機所もある。
    注文取りのお女中が来た
 〚 お女中 〛
    冷たいもの、あったかい
もの。和菓子、洋菓子。
 〚 俳諧人 〛
    気を使わないでください
     〚 お女中 〛
    何を言ってますか。
       お宅様は、お坊様のお連
れの方です。
    ここの主人の大切なお客
様です。
     どうぞ、おっしゃってく
ださい。
 〚 俳諧人 〛
    どうも、どうも、何時も
ながら、行儀、礼節の深
いお振舞い、痛み入りま
す。
ありがとうございます。

 〚 お坊様 〛
        いやぁ~、待たせたな。

 〚 俳諧人 〛
       トンデモない。
    お坊様のお蔭でお菓子、
飲物までいただいていま
す。
 〚 お坊様 〛
    おぉ~、そうか、そうか

    では、こちらをお暇しよ
    うとしよう。
 〚 俳諧人 〛
分かりました。

《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数軒
終わる 》   
 〚 お坊様 〛
    こちら様はな、旧財閥の
お宅で、マンション暮ら
しだが仏門でいう、くら
いが高いご一徒様なんだ
よ。
 〚 俳諧人 〛    
    これまで20件近く回り
ましたね。
お供えも山盛です。
    総持寺まで届けますか。

 〚 お坊様 〛
    何時ものように頼む。
私は、この胸の内で十分
。駅でいいから。
 〚 俳諧人 〛
       分かりました。そうさせ
ていただきます。
    運賃は、・・・・・円になり
ました。
       忘れ物に、気を付けて、
降りて下さい。
    ありがとうございました

明日もお待ちしておりま
す。
 〚 お坊様 〛
        明日も、頼んだぞ。

 〚 俳諧人の心の中 〛
        さぁ~、会社に戻ってこ
のお供えを、皆に配ろう


『東京漫遊談笑  NO28』

【 お坊との別れ 】
《 お盆の、盆暮れ3ケ日間の曹
洞宗総持寺のお坊さんとの
  お付き合い 》
《 今日から3ヶ日間鶴見の曹洞
宗総持寺のお坊さんとのおつ
き合いだ 》
《 毎年盆暮れのこととはいえ、
習慣づいてしまったな 》
《 お寺の副管長との忙しい日々
も、長くなったな 》
《 元麻布、江戸旗本の下級武士
の住まいの周りだ 》
 〚 俳諧人 〛
    住職、おはようございま
す。
          今日も1日よろしくお願
いします。        

  〚 お坊様 〛
  おぉ~、待たせたな。
         今日は、この名簿一覧に
添って行くからな。  
 〚 俳諧人 〛
    う~む、分かりました。
        メーターを入れます。
出発進行。
 〚 お坊様 〛
       狭いけど、大丈夫か。
          10分~15分だ。
     〚 俳諧人 〛
    はい、分かっております

     えぇ~、運送屋のトラッ
クが入って来た。
ギリギリだ。

 〚 お坊様 〛
    お供えの置き場に、助手
席を使うよ。

  〚 俳諧人 〛   
    どうぞ。コースは、少し
順番をいれ変えます。
《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数軒
終わる 》                     
  〚 お坊様 〛
           皆さん、平穏で静かだよ
。平和だね。

  〚 俳諧人 〛
    このお宅は、車も敷地内
で回転が出来て、待機所
もある。
    注文取りのお女中が来た


  〚 お女中 〛
        いつも、ご苦労さま。
冷たい飲物、あったかい
飲物。
     和菓子、洋菓子にします
か。

  〚 俳諧人 〛
        いつも、気を使っていた
だいて、ありがとうござ
います。

  〚 お女中 〛
    お盆、暮れのおつとめで
すから。
  〚 俳諧人 〛
    どうも、何時もながら、
行儀、礼節の深いお振舞
い、痛み入ります。
ありがとうございます。

  〚 お坊様 〛
       いやぁ~、待たせたな。
    では、こちらを、お暇し
よう。

  〚 俳諧人 〛
    分かりました。

《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数軒
終わる 》   
  〚 お坊様 〛
           今日はな・・・・・。
君に話があるんだ。
   〚 俳諧人 〛    
    急に、カシコマッテ・・・
           何か、ありましたか。
    お尋ね先で。
     私は、お坊と一心胴体
です。
すぐにはせ参じますか
ら。
 〚 お坊様 〛
    おぉ~、泣かせるね。
お前は。
    共を持つ身としては、鏡
だね・・・・・。
    仏様は、愚息のワラジに
、善き共を授けてくだ
さった。
    手を合わせて、合掌・・・・

  〚 俳諧人 〛
       どうしました。
    その、お話とやらをおっ
    しゃって下さい。
     〚 お坊様 〛
    では、言おう。
    実はだな、私は、この夏
で、お寺の副管長を去る
ことになったんだよ。
ついては、君との年中行
事が、今日で、最後なん
だよ。
    長くお付き合いしてくれ
て、ありがとう。
    世話になったな。
    ありがとう。
 〚 俳諧人 〛
    えぇ~、それはない。
ありえない。・・・・・・・・
  〚 お坊様 〛
     ついてはな、後任に、
君を紹介し、つないで
おこうと思うんだが、
受けてくれるかな。
  〚 俳諧人 〛
     それは、受けられません

     この盆暮れの年中行事は
、お坊との付き合いで
    あって、外に探すことは
出来ません。
    後任のご紹介を受けるこ
とは、お断りします。
    之までのお坊とのお付き
合いを、終生の思い出と
します。

  〚 お坊様 〛
     ・・・・・・・・・・。
      君とのお付き合いという
ことで、そうさせてもら
おう。
      合掌・・・・・。
  〚 俳諧人 〛
       今日でお別れということ
で、お坊に、一つだけお
聞きしたいことがありま
す。
お聞きしていいですか。
  〚 お坊様 〛
       何なりと。

  〚 俳諧人 〛
       お坊は、生まれ変わると
   したら、どんな生き方を
   選びますか。

  〚 お坊様 〛
       私は、生まれ変わるとし
ても、この仏に仕える身
を選ぶよ。

《 頭をポンと叩き、お坊だよと
いう仕草 》
  〚 俳諧人 〛
           分かりました。
ありがとうございました

           それでは、ここで、お暇
乞いをさせていただきま
す。
    運賃は、・・・・・円になり
ました。
            お忘れ物に、気を付けて
、降りて下さい。
    ありがとうございました

    長い間、ありがとうござ
いました。
  〚 お坊様 〛
       さらばだ。
     合掌・・・・・。
  〚 俳諧人の心の中 〛
       善き人との思い出を残し
た。
ありがたい。ありがたい

       お方の去る後ろ姿に。
    合掌・・・・・。


『東京漫遊談笑  NO29』

【 宮内庁高官と桜 】

《 今日は、夕方まで皇居の仕事
 だ 》
《 朝から会社へ連絡が入ったか
  らな 》
《 好まれた我が身の転回だ 》
《 今日も桜をじっくり観察しよ
 う 》
《 いゃ~、午前中から黒塗りの
 ハイヤーが一杯だな 》
《 みんな、車は、ピカピカだ 》
《 この車も、ハタキをがけをし
 ておくかな 》

 〚 俳諧人 〛
    お呼びいただき、ありが
とうございました。
           今日も一日、よろしくお
願いします。         

 〚 高官 〛
    ご苦労様。
        早速ですが、人事院まで
行っていただけますか。  

 〚 俳諧人 〛
    分かりました。
    メーターを入れます。
出発いたします。
 〚 高官 〛
    2~30分で戻りますか
ら、お待ちください。

 〚 俳諧人 〛
    はい、分りました。
お待ちします。          

《 ここは、懐かしいな、ほんの
5~6年まえに、勤めていた
隣だ 》
《 金曜日の夕方は、みんなと皇
居一周を、体力増強のために
、よく走っ たな 》
 〚 高官 〛
    では、元の皇居に戻りま
す。
   〚 俳諧人 〛  
   分かりました。

 〚 高官 〛
    午後に、もう一軒ありま
す。それまで待機してお
いて下さい。
  〚 俳諧人 〛
     分かりました。
    待機しています。        

《 そうだ、あの桜は、今日は、
どうなったかかな 》
《 幹が、10㎝足らずの若木
だけれども、変化しているか
な 》 
《 お~お~、土手の香りが、
クンクン匂う。自然の土手の
香りだ。いい 香りだ 》
《 九州の南関の大津山の山肌
の香りだ 》
 〚 俳諧人 〛
    警備のお巡りさんだ。
ケイレイ。
ご苦労様です。

《 お~お~、あった。若木の
桜だ 》
《 幹が、少し、赤みを帯びてき
たな。 》
《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 数日後 》
《 幹が、一段と赤みを帯びてき
たな。もうすぐ開花するのか
な 》
《 ・・・・・数日後、 》
《 開花した。なんと生き生きと
したも事な、奇麗な桜の花だ
。スガスガ シイ・・・・・ 》
 〚 俳諧人の心の中 〛
    桜は、まず、幹が赤みを
現し、それから、一週間
くらい後、枝先のつぼみ
   は、開花するのか。
          これは、毎年変わらない
な。素晴らしい発見だ。
          あの高官のお蔭だ。この
自然な状態の皇居を観る
機会を、与えてくれたお
かげだ。
    桜の若木から、観察した
ことだ。老木の桜の木で
は、幹の木皮の黒い色が
強すぎて、なかなか気が
つかないな。

 〚 高官 〛
       今日は、これで終わりで
す。

 〚 俳諧人 〛
       分かりました。
ありがとうございました

       運賃は、・・・・・円になり
ました。
       それでは、チケットの額
面の記入をお願いします

       お忘れ物に、気を付けて
下さい。
       今日は、これで、失礼し
ます。



『東京漫遊談笑  NO30』

【 桜と京染物の伝統 】

《 今日は、夕方まで皇居内の散
歩だ 》
《 春だ、天気もいい、朝から桜
の鑑賞だ 》
《 好まれた我が身の転回だ 》
《 今日も、桜をじっくり観察し
よう 》
《 いゃ~、皇居の中は、ハイヤ
 ーが一杯だな 》
《 よくみんな、車を、ミガクな
  》
《 俺はというと、ケイレイの先
 にある桜の木の下だな 》
《 警備の警官に向かって 》

 〚 俳諧人 〛
    ケイレイ。
   おはようございます。
   ご苦労様です。      

 〚 俳諧人の心の中=独り言の
ウナズキ 〛
    おぉ~、咲いている。
       桜の木の幹が、赤みを帯
びて約一週間だ。
      この変化は、開花の兆候
に違いない。
   これは、開花の時期の見
定めになることだ。ヨシ
、ヨシ、勉強になった。  

 〚 俳諧人 〛
    おはようございます。
    桜の朝の観察をしてきま
した。
 〚 高官 〛
       自治省への用です。
    桜とは、春の季節ですね

良いことが分かりました
か。

 〚 俳諧人 〛
    この十日余りの間に、小
生一大発見をしました。
       気象庁、桜の開花予想に
、勝るとも劣らない発見
です。
 〚 高官 〛
    帰りにお聞きします。
楽しみです。

《 ・・・・・所要が終わる 》 
 〚 高官 〛   
    ご苦労様。
        早速ですが、先程の気象
庁、桜の開花予想に、勝
    るとも劣らない発見とや
らを、お聞きしたくてね


 〚 俳諧人 〛
       おぉ~、そうでしたか。
    〚 高官 〛
       あなたは、若い時に、自
然科学に興味を持った学
びをしていましたよね。
是非、聞きたくて。

 〚 俳諧人 〛
    それほどのことでは、な
いことです。
       父の赴任先の九州、熊本
県南関という所で、小学
時代を過ごしましたが、
その折、自然と親しむ日
々がありました。
   そこは、詩人の北原白秋
の母方の生家があるとこ
ろですが、なかなかの自
然豊かなところですよ。         
   いやぁ~、実は、この十
日余りの間に、皇居の若
い桜の木を、見ていまし
たら、その幹が、赤みを
帯びてくることを感じ取
   りました。
   そしたら、約一週間後に
その若い桜の木に、花が
 咲きましたよ。
   開花ですよ。いやぁ~、
ビックリしました。
   桜は、開花の一週間前か
ら、幹を少しづつ、赤く
、色づかせるのを観察し
ました。
   桜の花が、少し赤みを感
じさせるのは、この幹の
樹液に因るのではないか

   しかし、桜も、生きた生
物だな、と観察できまし
たよ。
 〚 高官 〛
    おぉ~、素晴らしい・・・・
・。感動でしたね。
    いい、学習になりました
 〚 俳諧人 〛
    大事に、心にしまったお
きます。
《 ・・・・・数年後、ここは東京丸
の内 》                                    
 〚 俳諧人 〛
       どうぞ、お乗りください
。        
 〚 お客様 〛
       赤坂TBS会館に、お願
いします。
 〚 俳諧人 〛
       分かりました。皇居内堀
からでよろしいですか。
 〚 お客様 〛
       京都から来ました。道が
分からないので、よろし
くお願いします。
 〚 俳諧人 〛
    それでは、メーターを入
れます。出発します。
 〚 お客様 〛
    ここの広いところは、何
ですか。
静かで広々していますね
 〚 俳諧人 〛
    はい、ここは、皇居前広
場で、今、二重橋のとこ
ろです。
 〚 お客様 〛
    おぉ~、そうですか。
何とはなしに、いい所
ですね。

 〚 俳諧人 〛
       えぇ~、、ここで、私は
、一世一代の発見をし
ましたよ。
      なんでもないことなので
すが、桜の開花のことで
、発見をしまし た。
    皇居の中の桜の若木を観
    察していて分かりました
が、開花の一週間位前か
らこの幹が、赤みを帯び
てくることに気づきまし
   て、なんとその後、一週
間位したら、桜が、開花
したではないでか。
このことには、ビックリ
しました。
    桜の幹の表皮が、赤みを
帯びてくると、一週間位
したら、桜は、開花する
ということを、突き止め
ました。

 〚 お客様 〛
       よく気がつきましたね。
凄いことを、発見されま
したね。
       実は、私は、京都の染め
者屋でして、京都の染め
物“ 桜色 ”は、その桜を、
利用しています。
時代は、藤原、室町、戦
乱の秀吉、徳川と治世は
、目まぐるしく変わって
きましたが、京都の染め
物の“ 桜色 ”の染料は、こ
の1200年以上、変わ
ることなく、現在まで続
いています。
その発見は、素晴らしい
ことです。
ところで、“ 桜色 ”の染料
は、何を使うかお分かり
ですか。
 〚 俳諧人 〛
桜と関係があるのですか
。分かりません。
 〚 お客様 〛
“ 桜色 ”の染料は、その
桜の赤みが絡んできます

桜の木の樹液が、染料で
す。表皮との間の樹液で
す。
これは、時代が変わろう
と、この1200年も変
わらず、続いています。
この樹液は、桜の木に、
その一週間位しか生じま
せんから、染料として生
産が短い期間しかなく、
希少です。
従って、桜色の京染め物
は、おのずと高い物にな
ってしまいす。
 〚 俳諧人 〛
おぉ~、驚いた。
何気ない話から、12
    00年に渡る時代を見て
しまった。
大変、ありがとうござい
ました。
お話ししている間に 、
TBS会館につきました
 〚 お客様 〛
あぁ~、ありがとうござ
いました。    
今日は、素晴らしいこと
に、気がつかれた方とお
会いできて、楽しい道中
でした。
 〚 俳諧人 〛
ありがとうございました

運賃は、・・・・・円になり
ました。
それでは、チケットの額
面の記入をお願いします

忘れ物に、お気を付けく
ださい。
  今日は、これで、失礼し
ます。
お教え、ありがとうござ
いました。  

投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です