『東京漫遊談笑 NO26』
【 忘れ物の起承転結 】
《 レシートをお持ち下さい 》
《 大丈夫だ、いらないよ 》
《 うるさいな、いらないといっ
ているのに 》
《 あぁ~、レシートをマルメて
ゴミバコに捨てた 》
《 この人に何事もなければよい
が 》
〚 お客様 〛
おぉ~い、行くぞ。
乗れ。
〚 俳諧人 〛
ちょっと待て、何人乗る
んだ。この車は、定員五
人だぞ。
〚 お客様 〛
六本木までだよ。
お願い。 頼むよ。
〚 俳諧人 〛
今、前のお客を降ろした
ばかりだぞ。
ドサクサに紛れて乗って
きて。
乗ってしまったのか。
定員オーバーだと何も保
証はないからな。
いいな。
〚 お客様 〛
お願い。
〚 俳諧人 〛
ショウガナイな。後ろは
、頭を低くしてくれよ。
俺も、警察に捕まりたく
ないからな。
それでは、メーターを入
れるよ。
〚 お客様 〛
一斉に、お願いします。
〚 俳諧人 〛
降ろしたばかりの、ドサ
クサに紛れ込んで。
〚 お客様連中 〛
お兄さんも、どお~、一
緒に飲みにいかない。
〚 俳諧人 〛
トンデモない。
〚 お客様 〛
そうか。残念だな。
〚 そのお客様連中の一人 〛
ツマサキがゴツゴツする
けど。
〚 俳諧人 〛
どれどれ、おぉ~、チャ
ック付きの札サイフだ。
ひぇ~、帯ふうの束2札
にバラ1万円が37枚だ
。
237万ある。
〚 お客様連中 〛
ひゃ~、凄い。
〚 俳諧人 〛
何人いるんだ。私まで8
人もいる。
ひぇ~、こちらも凄い。
おぉ~い、大変だ。
一人頭30万円だ。
〚 そのお客連中の一人 〛
運転手さん、俺達は、こ
れから六本木に飲みにい
くんだ。
金を拾いに来たんではな
いからな。
そのサイフは、運転手さ
んに任せるよ。
〚 俳諧人 〛
みんな、偉いな。
よし、分かった。会社に
連絡する。
カード類が、入っている
から、持ち主は分かるな
。
後は、会社からの連絡を
待とう。
〚 お客様連中 〛
それでは、お願いします
。
〚 俳諧人 〛
了解したよ。
〚 お客様連中 〛
おぉ~、着いたぞ。
降りるぞ。
〚 俳諧人 〛
運賃は、・・・・・円になり
ました。
お忘れ物に気を付けて、
降りて下さい。
大金を忘れないようにお
願いします。
人が多くて、足が、座席
の下までいき、とんだハ
プニングになったけど、
定員オーバーは、次回か
らは、絶対になしだよ。
〚 お客様連中 〛
了解。
〚 俳諧人の心中 〛
なかなか、忘れ物の問い
合わせは、ないな。
全員に、レシートは、渡
してあるけどな。
もう、2時を回り、ここ
は、友の高橋君の実家の
ある横浜の井戸ケ谷だ。
懐かしいな、横浜の俺の
古巣だ。
《 ピーピー・・・・・ 》
《 会社から電話だ 》
〚 俳諧人 〛
忘れ主から連絡がありま
したか。
それは良かった。
早速、本人に連絡します
。
〚 俳諧人 〛から〚 落し主 〛
への連絡
いゃ~、連絡を待ってい
ましたよ。
横浜の井土ヶ谷にいます
から、3時半に青山三丁
目のベルコモンズに行け
ますから、そこで、お待
ちします。
宜しいですか。
〚 落し主 〛
運転手さんの渡したレシ
ートをゴミバコから3時
間かけて探しました。
やっと見つかり、連絡が
取れました。
助かります。
〚 俳諧人 〛
それは、良かったですね
。
後程、お会いしてお渡し
します。
〚 俳諧人の心の中 〛
早く着いたな。
《 アベックの二人連れが交差点
にいる 》
《 この運転手さんに送ってもら
えよとしゃべっている 》
〚 俳諧人 〛
今、回送で、人を待って
います。
その後なら、お乗りいた
だけます。
お乗りになるのであれば
、車内でお待ちください
。
寒いから。
《 そうしてもらおうとアベック
の二人連れが乗り込む 》
〚 俳諧人 〛
どちらまでお帰りですか
。
〚 二人連れ 〛
北小岩です。いいですか
。
〚 俳諧人 〛
昔、勤めていた会社の小
岩営業所が、鎌倉という
ところにありまして、よ
く知っています。
どうぞ。
〚 二人連れ 〛
助かります。よろしくお
願いします。
〚 俳諧人 〛
忘れ物をした落し主との
待ち合わせです。もうす
ぐきますから。
あぁ~、来られました。
〚 俳諧人 〛
・・・・・さんですか。
念のため、お名前とレシ
ートがあれば、お願いし
ます。
確認させていただきます
。
確かに、・・・・・さんですね
。確認しました。
それでは、サイフをお渡
しします。
〚 落し主 〛
サイフから、わしづかみ
の札をとりだして、これ
は、お礼です。
受け取ってください。
〚 俳諧人 〛
とんでもない。
明日朝の支払いで、お持
ちになっていたお金でし
ょう。
お礼の分は、もう、後部
座席に、お客様として、
乗って待っておられます
。
北小岩と云うことで、6
~7000円んの売り上
げがあり、お礼として十
分です。
〚 落し主 〛
助かります。
車を降りるときは、失礼
をして、すみませんでし
た。
以後、気を付けます。
〚 俳諧人 〛
それでは、失礼します。
〚 俳諧人 〛
では、北小岩に向かいま
す。
メーターを入れます。
お願いします。
〚 新しいお客様 〛
待たせていただいて、あ
りがとうございました。
お願いします。
色々とあるんですね
〚 俳諧人 〛
忘れ物の件で、無事にす
みまして、ほっとしてい
ます。
先程、言いましたが、昔
、チャンピオン交通とい
う会社に 勤めていました
が、その小岩営業所が、
この小岩の鎌倉にあって
、よく来ていましたか
ら、私には古巣みたいな
ところですよ。
深夜は、早いですね。
もう着きましたよ。
運賃は、・・・・・円になり
ました。
忘れ物に、気を付けて、
降りて下さい。
ありがとうございました
。
〚 新しいお客様 〛
ありがとうございました
。
『東京漫遊談笑 NO27』
【 お坊との忙しい3ケ日間 】
《 お盆の一日目8月13日午前
9:00だ 》
《 今日から3ヶ日鶴見の曹洞宗
総持寺のお坊さんとのおつき
合いだ 》
《 毎年盆暮れのこととはいえ、
習慣づいてしまったな 》
《 おぉ~きたぞ、午前9:00
ぴったりだ 》
《 さぁ麻布界隈の路地責めだ 》
〚 俳諧人 〛
住職、おはようございま
す。
今日も1日よろしくお願
いします。
〚 お坊様 〛
おぉ~、待たせたな。
今日は、この名簿一覧に
添って行くからな。
〚 俳諧人 〛
う~む、相変わらず、麻
布の狭い路地ですね。
分かりました。
メーターを入れます。
出発進行。
〚 お坊様 〛
せまいけど、大丈夫か。
10分~15分だ。
〚 俳諧人 〛
はい、分かっております
。
えぇ~、運送屋のトラッ
クが入って来た。
ギリギリだ。
〚 お坊様 〛
お供えをいただくが、助
手席を使うよ。
〚 俳諧人 〛
どうぞ。コースは、少し
順番をいれ変えます。
《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数
軒終わる 》
〚 お坊様 〛
こちらのお宅は、財閥の
お宅だ。
〚 俳諧人 〛
車も敷地内で回転ができ
る。待機所もある。
注文取りのお女中が来た
。
〚 お女中 〛
冷たいもの、あったかい
もの。和菓子、洋菓子。
〚 俳諧人 〛
気を使わないでください
。
〚 お女中 〛
何を言ってますか。
お宅様は、お坊様のお連
れの方です。
ここの主人の大切なお客
様です。
どうぞ、おっしゃってく
ださい。
〚 俳諧人 〛
どうも、どうも、何時も
ながら、行儀、礼節の深
いお振舞い、痛み入りま
す。
ありがとうございます。
〚 お坊様 〛
いやぁ~、待たせたな。
〚 俳諧人 〛
トンデモない。
お坊様のお蔭でお菓子、
飲物までいただいていま
す。
〚 お坊様 〛
おぉ~、そうか、そうか
。では、こちらをお暇し
ようとしよう。
〚 俳諧人 〛
分かりました。
《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数軒
終わる 》
〚 お坊様 〛
こちら様はな、旧財閥の
お宅で、マンション暮ら
しだが仏門でいう、くら
いが高いご一徒様なんだ
よ。
〚 俳諧人 〛
これまで20件近く回り
ましたね。お供えも山盛
です。
総持寺まで届けますか。
〚 お坊様 〛
何時ものように頼む。
私は、この胸の内で十分
。
駅でいいから。
〚 俳諧人 〛
分かりました。
そうさせていただきます
。
運賃は、・・・・・円になり
ました。
忘れ物に、気を付けて、
降りて下さい。
ありがとうございました
。
明日もお待ちしておりま
す。
〚 お坊様 〛
明日も、頼んだぞ。
〚 俳諧人の心の中 〛
さぁ~、会社に戻ってこ
のお供えを、皆に配ろう
。
《 お盆の一日目8月13日午前
9:00だ 》
《 今日から3ヶ日鶴見の曹洞宗
総持寺のお坊さんとのおつき
合いだ 》
《 毎年盆暮れのこととはいえ、
習慣づいてしまったな 》
《 おぉ~きたぞ、午前9:00
ぴったりだ 》
《 さぁ麻布界隈の路地責めだ 》
〚 俳諧人 〛
住職、おはようございま
す。
今日も1日よろしくお願
いします。
〚 お坊様 〛
おぉ~、待たせたな。
今日は、この名簿一覧に
添って行くからな。
〚 俳諧人 〛
う~む、相変わらず、麻
布の狭い路地ですね。
分かりました。
メーターを入れます。
出発進行。
〚 お坊様 〛
せまいけど、大丈夫か。
10分~15分だ。
〚 俳諧人 〛
はい、分かっております
。
えぇ~、運送屋のトラッ
クが入って来た。
ギリギリだ。
〚 お坊様 〛
お供えをいただくが、助
手席を使うよ。
〚 俳諧人 〛
どうぞ。コースは、少し
順番をいれ変えます。
《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数軒
終わる 》
〚 お坊様 〛
こちらのお宅は、財閥の
お宅だ。
〚 俳諧人 〛
車も敷地内で回転ができ
る。待機所もある。
注文取りのお女中が来た
。
〚 お女中 〛
冷たいもの、あったかい
もの。和菓子、洋菓子。
〚 俳諧人 〛
気を使わないでください
。
〚 お女中 〛
何を言ってますか。
お宅様は、お坊様のお連
れの方です。
ここの主人の大切なお客
様です。
どうぞ、おっしゃってく
ださい。
〚 俳諧人 〛
どうも、どうも、何時も
ながら、行儀、礼節の深
いお振舞い、痛み入りま
す。
ありがとうございます。
〚 お坊様 〛
いやぁ~、待たせたな。
〚 俳諧人 〛
トンデモない。
お坊様のお蔭でお菓子、
飲物までいただいていま
す。
〚 お坊様 〛
おぉ~、そうか、そうか
。
では、こちらをお暇しよ
うとしよう。
〚 俳諧人 〛
分かりました。
《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数軒
終わる 》
〚 お坊様 〛
こちら様はな、旧財閥の
お宅で、マンション暮ら
しだが仏門でいう、くら
いが高いご一徒様なんだ
よ。
〚 俳諧人 〛
これまで20件近く回り
ましたね。
お供えも山盛です。
総持寺まで届けますか。
〚 お坊様 〛
何時ものように頼む。
私は、この胸の内で十分
。駅でいいから。
〚 俳諧人 〛
分かりました。そうさせ
ていただきます。
運賃は、・・・・・円になり
ました。
忘れ物に、気を付けて、
降りて下さい。
ありがとうございました
。
明日もお待ちしておりま
す。
〚 お坊様 〛
明日も、頼んだぞ。
〚 俳諧人の心の中 〛
さぁ~、会社に戻ってこ
のお供えを、皆に配ろう
。
『東京漫遊談笑 NO28』
【 お坊との別れ 】
《 お盆の、盆暮れ3ケ日間の曹
洞宗総持寺のお坊さんとの
お付き合い 》
《 今日から3ヶ日間鶴見の曹洞
宗総持寺のお坊さんとのおつ
き合いだ 》
《 毎年盆暮れのこととはいえ、
習慣づいてしまったな 》
《 お寺の副管長との忙しい日々
も、長くなったな 》
《 元麻布、江戸旗本の下級武士
の住まいの周りだ 》
〚 俳諧人 〛
住職、おはようございま
す。
今日も1日よろしくお願
いします。
〚 お坊様 〛
おぉ~、待たせたな。
今日は、この名簿一覧に
添って行くからな。
〚 俳諧人 〛
う~む、分かりました。
メーターを入れます。
出発進行。
〚 お坊様 〛
狭いけど、大丈夫か。
10分~15分だ。
〚 俳諧人 〛
はい、分かっております
。
えぇ~、運送屋のトラッ
クが入って来た。
ギリギリだ。
〚 お坊様 〛
お供えの置き場に、助手
席を使うよ。
〚 俳諧人 〛
どうぞ。コースは、少し
順番をいれ変えます。
《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数軒
終わる 》
〚 お坊様 〛
皆さん、平穏で静かだよ
。平和だね。
〚 俳諧人 〛
このお宅は、車も敷地内
で回転が出来て、待機所
もある。
注文取りのお女中が来た
。
〚 お女中 〛
いつも、ご苦労さま。
冷たい飲物、あったかい
飲物。
和菓子、洋菓子にします
か。
〚 俳諧人 〛
いつも、気を使っていた
だいて、ありがとうござ
います。
〚 お女中 〛
お盆、暮れのおつとめで
すから。
〚 俳諧人 〛
どうも、何時もながら、
行儀、礼節の深いお振舞
い、痛み入ります。
ありがとうございます。
〚 お坊様 〛
いやぁ~、待たせたな。
では、こちらを、お暇し
よう。
〚 俳諧人 〛
分かりました。
《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~数軒
終わる 》
〚 お坊様 〛
今日はな・・・・・。
君に話があるんだ。
〚 俳諧人 〛
急に、カシコマッテ・・・
何か、ありましたか。
お尋ね先で。
私は、お坊と一心胴体
です。
すぐにはせ参じますか
ら。
〚 お坊様 〛
おぉ~、泣かせるね。
お前は。
共を持つ身としては、鏡
だね・・・・・。
仏様は、愚息のワラジに
、善き共を授けてくだ
さった。
手を合わせて、合掌・・・・
〚 俳諧人 〛
どうしました。
その、お話とやらをおっ
しゃって下さい。
〚 お坊様 〛
では、言おう。
実はだな、私は、この夏
で、お寺の副管長を去る
ことになったんだよ。
ついては、君との年中行
事が、今日で、最後なん
だよ。
長くお付き合いしてくれ
て、ありがとう。
世話になったな。
ありがとう。
〚 俳諧人 〛
えぇ~、それはない。
ありえない。・・・・・・・・
〚 お坊様 〛
ついてはな、後任に、
君を紹介し、つないで
おこうと思うんだが、
受けてくれるかな。
〚 俳諧人 〛
それは、受けられません
。
この盆暮れの年中行事は
、お坊との付き合いで
あって、外に探すことは
出来ません。
後任のご紹介を受けるこ
とは、お断りします。
之までのお坊とのお付き
合いを、終生の思い出と
します。
〚 お坊様 〛
・・・・・・・・・・。
君とのお付き合いという
ことで、そうさせてもら
おう。
合掌・・・・・。
〚 俳諧人 〛
今日でお別れということ
で、お坊に、一つだけお
聞きしたいことがありま
す。
お聞きしていいですか。
〚 お坊様 〛
何なりと。
〚 俳諧人 〛
お坊は、生まれ変わると
したら、どんな生き方を
選びますか。
〚 お坊様 〛
私は、生まれ変わるとし
ても、この仏に仕える身
を選ぶよ。
《 頭をポンと叩き、お坊だよと
いう仕草 》
〚 俳諧人 〛
分かりました。
ありがとうございました
。
それでは、ここで、お暇
乞いをさせていただきま
す。
運賃は、・・・・・円になり
ました。
お忘れ物に、気を付けて
、降りて下さい。
ありがとうございました
。
長い間、ありがとうござ
いました。
〚 お坊様 〛
さらばだ。
合掌・・・・・。
〚 俳諧人の心の中 〛
善き人との思い出を残し
た。
ありがたい。ありがたい
。
お方の去る後ろ姿に。
合掌・・・・・。
『東京漫遊談笑 NO29』
【 宮内庁高官と桜 】
《 今日は、夕方まで皇居の仕事
だ 》
《 朝から会社へ連絡が入ったか
らな 》
《 好まれた我が身の転回だ 》
《 今日も桜をじっくり観察しよ
う 》
《 いゃ~、午前中から黒塗りの
ハイヤーが一杯だな 》
《 みんな、車は、ピカピカだ 》
《 この車も、ハタキをがけをし
ておくかな 》
〚 俳諧人 〛
お呼びいただき、ありが
とうございました。
今日も一日、よろしくお
願いします。
〚 高官 〛
ご苦労様。
早速ですが、人事院まで
行っていただけますか。
〚 俳諧人 〛
分かりました。
メーターを入れます。
出発いたします。
〚 高官 〛
2~30分で戻りますか
ら、お待ちください。
〚 俳諧人 〛
はい、分りました。
お待ちします。
《 ここは、懐かしいな、ほんの
5~6年まえに、勤めていた
隣だ 》
《 金曜日の夕方は、みんなと皇
居一周を、体力増強のために
、よく走っ たな 》
〚 高官 〛
では、元の皇居に戻りま
す。
〚 俳諧人 〛
分かりました。
〚 高官 〛
午後に、もう一軒ありま
す。それまで待機してお
いて下さい。
〚 俳諧人 〛
分かりました。
待機しています。
《 そうだ、あの桜は、今日は、
どうなったかかな 》
《 幹が、10㎝足らずの若木
だけれども、変化しているか
な 》
《 お~お~、土手の香りが、
クンクン匂う。自然の土手の
香りだ。いい 香りだ 》
《 九州の南関の大津山の山肌
の香りだ 》
〚 俳諧人 〛
警備のお巡りさんだ。
ケイレイ。
ご苦労様です。
《 お~お~、あった。若木の
桜だ 》
《 幹が、少し、赤みを帯びてき
たな。 》
《 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 数日後 》
《 幹が、一段と赤みを帯びてき
たな。もうすぐ開花するのか
な 》
《 ・・・・・数日後、 》
《 開花した。なんと生き生きと
したも事な、奇麗な桜の花だ
。スガスガ シイ・・・・・ 》
〚 俳諧人の心の中 〛
桜は、まず、幹が赤みを
現し、それから、一週間
くらい後、枝先のつぼみ
は、開花するのか。
これは、毎年変わらない
な。素晴らしい発見だ。
あの高官のお蔭だ。この
自然な状態の皇居を観る
機会を、与えてくれたお
かげだ。
桜の若木から、観察した
ことだ。老木の桜の木で
は、幹の木皮の黒い色が
強すぎて、なかなか気が
つかないな。
〚 高官 〛
今日は、これで終わりで
す。
〚 俳諧人 〛
分かりました。
ありがとうございました
。
運賃は、・・・・・円になり
ました。
それでは、チケットの額
面の記入をお願いします
。
お忘れ物に、気を付けて
下さい。
今日は、これで、失礼し
ます。
『東京漫遊談笑 NO30』
【 桜と京染物の伝統 】
《 今日は、夕方まで皇居内の散
歩だ 》
《 春だ、天気もいい、朝から桜
の鑑賞だ 》
《 好まれた我が身の転回だ 》
《 今日も、桜をじっくり観察し
よう 》
《 いゃ~、皇居の中は、ハイヤ
ーが一杯だな 》
《 よくみんな、車を、ミガクな
》
《 俺はというと、ケイレイの先
にある桜の木の下だな 》
《 警備の警官に向かって 》
〚 俳諧人 〛
ケイレイ。
おはようございます。
ご苦労様です。
〚 俳諧人の心の中=独り言の
ウナズキ 〛
おぉ~、咲いている。
桜の木の幹が、赤みを帯
びて約一週間だ。
この変化は、開花の兆候
に違いない。
これは、開花の時期の見
定めになることだ。ヨシ
、ヨシ、勉強になった。
〚 俳諧人 〛
おはようございます。
桜の朝の観察をしてきま
した。
〚 高官 〛
自治省への用です。
桜とは、春の季節ですね
。
良いことが分かりました
か。
〚 俳諧人 〛
この十日余りの間に、小
生一大発見をしました。
気象庁、桜の開花予想に
、勝るとも劣らない発見
です。
〚 高官 〛
帰りにお聞きします。
楽しみです。
《 ・・・・・所要が終わる 》
〚 高官 〛
ご苦労様。
早速ですが、先程の気象
庁、桜の開花予想に、勝
るとも劣らない発見とや
らを、お聞きしたくてね
。
〚 俳諧人 〛
おぉ~、そうでしたか。
〚 高官 〛
あなたは、若い時に、自
然科学に興味を持った学
びをしていましたよね。
是非、聞きたくて。
〚 俳諧人 〛
それほどのことでは、な
いことです。
父の赴任先の九州、熊本
県南関という所で、小学
時代を過ごしましたが、
その折、自然と親しむ日
々がありました。
そこは、詩人の北原白秋
の母方の生家があるとこ
ろですが、なかなかの自
然豊かなところですよ。
いやぁ~、実は、この十
日余りの間に、皇居の若
い桜の木を、見ていまし
たら、その幹が、赤みを
帯びてくることを感じ取
りました。
そしたら、約一週間後に
その若い桜の木に、花が
咲きましたよ。
開花ですよ。いやぁ~、
ビックリしました。
桜は、開花の一週間前か
ら、幹を少しづつ、赤く
、色づかせるのを観察し
ました。
桜の花が、少し赤みを感
じさせるのは、この幹の
樹液に因るのではないか
。
しかし、桜も、生きた生
物だな、と観察できまし
たよ。
〚 高官 〛
おぉ~、素晴らしい・・・・
・。感動でしたね。
いい、学習になりました
。
〚 俳諧人 〛
大事に、心にしまったお
きます。
《 ・・・・・数年後、ここは東京丸
の内 》
〚 俳諧人 〛
どうぞ、お乗りください
。
〚 お客様 〛
赤坂TBS会館に、お願
いします。
〚 俳諧人 〛
分かりました。皇居内堀
からでよろしいですか。
〚 お客様 〛
京都から来ました。道が
分からないので、よろし
くお願いします。
〚 俳諧人 〛
それでは、メーターを入
れます。出発します。
〚 お客様 〛
ここの広いところは、何
ですか。
静かで広々していますね
。
〚 俳諧人 〛
はい、ここは、皇居前広
場で、今、二重橋のとこ
ろです。
〚 お客様 〛
おぉ~、そうですか。
何とはなしに、いい所
ですね。
〚 俳諧人 〛
えぇ~、、ここで、私は
、一世一代の発見をし
ましたよ。
なんでもないことなので
すが、桜の開花のことで
、発見をしまし た。
皇居の中の桜の若木を観
察していて分かりました
が、開花の一週間位前か
らこの幹が、赤みを帯び
てくることに気づきまし
て、なんとその後、一週
間位したら、桜が、開花
したではないでか。
このことには、ビックリ
しました。
桜の幹の表皮が、赤みを
帯びてくると、一週間位
したら、桜は、開花する
ということを、突き止め
ました。
〚 お客様 〛
よく気がつきましたね。
凄いことを、発見されま
したね。
実は、私は、京都の染め
者屋でして、京都の染め
物“ 桜色 ”は、その桜を、
利用しています。
時代は、藤原、室町、戦
乱の秀吉、徳川と治世は
、目まぐるしく変わって
きましたが、京都の染め
物の“ 桜色 ”の染料は、こ
の1200年以上、変わ
ることなく、現在まで続
いています。
その発見は、素晴らしい
ことです。
ところで、“ 桜色 ”の染料
は、何を使うかお分かり
ですか。
〚 俳諧人 〛
桜と関係があるのですか
。分かりません。
〚 お客様 〛
“ 桜色 ”の染料は、その
桜の赤みが絡んできます
。
桜の木の樹液が、染料で
す。表皮との間の樹液で
す。
これは、時代が変わろう
と、この1200年も変
わらず、続いています。
この樹液は、桜の木に、
その一週間位しか生じま
せんから、染料として生
産が短い期間しかなく、
希少です。
従って、桜色の京染め物
は、おのずと高い物にな
ってしまいす。
〚 俳諧人 〛
おぉ~、驚いた。
何気ない話から、12
00年に渡る時代を見て
しまった。
大変、ありがとうござい
ました。
お話ししている間に 、
TBS会館につきました
。
〚 お客様 〛
あぁ~、ありがとうござ
いました。
今日は、素晴らしいこと
に、気がつかれた方とお
会いできて、楽しい道中
でした。
〚 俳諧人 〛
ありがとうございました
。
運賃は、・・・・・円になり
ました。
それでは、チケットの額
面の記入をお願いします
。
忘れ物に、お気を付けく
ださい。
今日は、これで、失礼し
ます。
お教え、ありがとうござ
いました。
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