『東京漫遊談笑 NO21』
【 海千山千の街小網町、兜町 】
《 大きい道路のわりには、ひっ
そりしているね 》
《 往時を偲ぶことは、できない
な。この様子では 》
《 相場師の時代は、去っていっ
たか 》
〚 俳諧人の心の中 〛
うむ~、お客も、いそう
にないな。
あぁ~、小網神社だ。
お命とお金の神様だ。
二礼二拍手一礼・・・・・。
おぉ~、お参りのお客だ
。
〚 俳諧人 〛
どうぞ、お乗りください
。
〚 お客様 〛
東京駅八重洲口まで、お
願いします。新幹線で、
福岡まで帰りますから。
〚 俳諧人 〛
それでは、昭和通りから
行きます。
メーターを入れます。
お願いします。
福岡へお帰りですか。
遠方ですね。
〚 お客様 〛
株のことで、兜町に来ま
した。
ついでに、小網神社にお
参りしました。
〚 俳諧人 〛
小網神社は、小さな神
社ですが、よく、ご存
じですね。
〚 お客様 〛
我々は、海千山千の相
場師ですから、いろい
ろなことに気を
配ります。
神仏も然りです。兜町
では、仕手戦を張った
りもしています。
〚 俳諧人 〛
おぉ~、凄い。小網町
の裏手には、聞いた話
ですが、仕手屋の界隈
があったそうですね。
興亡も時の運ですかね。
〚 お客様 〛
今は、土地バブル真っ
盛りです。
株の動きが激しい時で
す。
情報が少ないと、やら
れますよ。
多くの人が沈んでいま
すね。
〚 俳諧人 〛
ひっそりとした街は、実
は、内では、激しく動い
ているということです
ね。
小豆、大豆、粉やとい
った相場師に係る大手
企業があり、そして、
計算センターとして名
を馳せた富士銀行など
がありますね。
これらは、この相場に
係る企業ですね。
兜町の株も、所詮は、
企業の相場の評定を諮
る材料ですからね。
〚 お客様 〛
その通りだよ。
だから、情報が大事と
いうことだよ。
あぁ~、その辺でいい
よ。
ありがとう。
〚 俳諧人 〛
気を付けて、お帰り下さ
い。
ありがとうございました
。
運賃は、・・・・・円になり
ました。
お忘れ物に気を付けて、
降りてください。
ありがとうございました
。
〚 お客様 〛
機会があったらまたな。
『東京漫遊談笑 NO22』
【 デフレ経済からの脱却 】
《 この大学の周囲を走ろう 》
《 世間では、デフレ経済からの
脱却とか言って騒いでいる
❓ 》
《 政治の舞台には、野次馬的に
ハシャグ連中が多い 》
《 しかし、吉田茂、池田勇人等
はそうでもないな 》
《 その知識と知恵を、教えても
らわなければな 》
〚 俳諧人の心の中 〛
あぁ~、うむ~、お客も
、いそうにないな。
いゃ~、おぉ~、先にい
るのは、お客だ。
仕事帰りには、早いな。
中年の紳士だ。
〚 俳諧人 〛
どうぞ、お乗りください
。
〚 お客様 〛
三田の先のお寺さんまで
、お願いします。
〚 俳諧人 〛
それでは、本郷通りから
、日比谷通り、国道一号
から行きます。
それでよろしいですか。
メーターを入れます。
お願いします。
〚 お客様 〛
お願いします。
〚 俳諧人 〛
久々に、中距離のお客様
を、お乗せしましたよ。
〚 お客様 〛
みなさん、近距離です
か。
〚 俳諧人 〛
最寄りの駅までですよ。
〚 お客様 〛
そうですか。
〚 俳諧人 〛
ところで、大学の先生と
お見受けしましたが、
何の先生ですか。
〚 お客様 〛
私は、経済ですが。
〚 俳諧人 〛
最近、疑問に思っている
ことがありますが。
お聞きしても宜しいです
か。
〚 お客様 〛
今日は、大丈夫ですよ。
どうぞ。
〚 俳諧人 〛
世間では、デフレからの
脱却とか言って騒いでい
るようですが。
ここしばらくの間は、イ
ンフレ景気にささえられ
ていたようです
が、ここにきて、デフレ
経済からの脱却という課
題を、新聞、メディアは
、よく言っています。
ここが、よく理解できな
いことです。
〚 お客様 〛
ここの課題は、歴史を紐
解かなければならない課
題、有ります。
過去に、多くの宰相が、
挑んだ歴史があります。
分かるかね。
〚 俳諧人 〛
うむ~、分かりません。
〚 お客様 〛
それを成した宰相は、日
本の吉田茂だよ。
それも、彼だけが成し得
たんだよ。
国家予算の三分の一を予
算から削り通したんだよ
。
あまたの議員の反対を押
し通してだよ。
馬鹿ヤロウ、解散だ、と
いう事態を招く首相の命
運をかけてな。
彼曰く、
“ 税収を少なくすること
は、国民に金銭の余裕を
もたらし、設備投資と次
世代の教育の機会を生む
ことだ ”と。
〚 俳諧人 〛
これは、大変だ。引き返
しますよ。
ユータウンします。
〚 お客様 〛
おぉ~、どうした。
〚 俳諧人 〛
なにを言ってんですか。
先生の研究室に戻るんで
すよ。
今聞いたことを、書物に
して、チマタの人に知ら
しめるんですよ。
多くの人がその知識と知
恵を求めているんですよ
。
〚 お客様 〛
えぇ~、君。
私は、これから、友人の
弔いに行くところだよ。
頼む、行かしてくれ。
〚 俳諧人 〛
うむ~、友人の弔いです
か。
えぇ~、弔いですか。
なにはそれ、はせ参じな
なればいけないことです
ね。
いいもなにもない。
行かねばなりませんね。
先ずは、それが一番です
ね。
またユータウンします。
〚 俳諧人 〛
お客様は、友人に助けれ
ましたね。
よき、友人でしたね。
私は、歴史の一ページに
遭遇して、慌てましたよ
。
〚 お客様 〛
君、君、僕が、書物を書
いても誰も読まないよ。
君は、年間に何人の人を
乗せるかね。
〚 俳諧人 〛
まぁ~、年間で、8,0
00人から10,000
人の人を乗せますね。
それが、どうかしました
か。
〚 お客様 〛
いやね~、君がその口で
、8,000人から10
,000人
の人にしゃべって、話し
てくれたら、年間にその
本が売れたことになると
思ってね。
〚 俳諧人 〛
話が、トンチンカンにな
りましたね。
しかし、吉田茂は、マッ
カーサーは、戦後の処理
で考えていましたが、先
程の話をお聞きしていま
すと、このことは、政治
の政策に係る、重要なこ
とですね。いゃ~、大変
大切なことを学びました
。
なかなか、素人では、得
難い講義内容でした。
吉田茂はという政治家を
過去の政治家と考えてい
ましたが、今に生きた政
治家ですね。
つい昨今、お亡くなりに
なりましたが。
〚 お客様 〛
そうなんだよ。戦後の歴
史は、まだ、始まったば
かりだよ。
しかし、君の性急な性格
には、驚いたね。慌てた
よ。
まぁ~、無事に、三田に
着いて良かったよ。
〚 俳諧人 〛
いゃ~、歴史は一瞬の内
に決まりますからね。
いろいろ複雑に考えてい
る暇は、ありませんから
。
今日は、先生から、重要
な知恵を、学ばせてもら
いました。
ありがとうございました
。
こちらが、目的地のお寺
さんです。
ありがとうございました
。
運賃は、・・・・・円になり
ました。
お忘れ物に気を付けて、
降りてください。
ありがとうございました
。
〚 お客様 〛
ありがとう。
私が、本を書いて読んで
もらうより、君が、乗っ
てくれた人に、吉田茂の
ことを、しゃべってくれ
よな。
頼むぞ。
本が、売れたことになる
からな。またな。
『東京漫遊談笑 NO23』
【 東京駅の認知症の話し 】
《 朝の出勤も終わり一安心だ 》
《 八重洲口の乗り場に並ぶとす
るか 》
《 今日は多いな 》
〚 俳諧人の心の中 〛
客だ。老人だ。一人だ。
〚 俳諧人 〛
どうぞ、お乗りください
。
《 ドアボーイ 》
お願いします。
《 ドアがバシっと閉まる音 》
〚 お客様 〛
日本橋三越まで、お願い
。
〚 俳諧人 〛
本館正面でいいですか。
〚 お客様 〛
お願い。
〚 俳諧人〛
出発します。
お一人で買い物ですか。
〚 お客様 〛
うむ~、いい日和だね。
今日は。
もう三越は、開いている
かな。
〚 俳諧人 〛
おや~、女の方が、後ろ
から一生懸命走って、こ
の車を追いかけています
が~。
〚 お客様 〛
そうかな。
〚 俳諧人 〛
いゃ~、やっぱり、この
車を追っかけていますね
。
お聞きしても宜しいです
か。
〚 お客様 〛
うむ~。
《 ドアをトントン叩く音がする
》
〚 俳諧人 〛
どうかしましたか。
この車にご用ですか。
《 お客に向かって 》
〚 女の方 〛
アンタ何で先に行くのよ
。追っかけたわよ。
私を置いて。
〚 お客様 〛
おぉ~、おぉ~、お前も
いたのか。
〚 女の方 〛
「おぉ~、お前もいたの
か」」ではないわよ。
東京駅まで、一緒に、
電車できておいて。
《 女の方も乗車して 》
〚 お客様がた 〛
うむ~、お前も一緒だっ
たのか。
慌てちゃったわよ。
置いてきぼりにされて。
〚 俳諧人 〛
おぉ~、良かった、良か
った。
あぁ~、もう三越に着き
ましたよ。
ありがとうございました
。
運賃は、・・・・・円になり
ました。
お忘れ物に気を付けて、
降りてください。
ありがとうございました
。
〚 お客様 〛
ありがとさん。
よかった、この人、少し
認知症が、始まっている
もんでね。
『東京漫遊談笑 NO24』
【 スペイン大使館での認知症 】
《 この辺は裕福層だな、幸せそ
うだな 》
《 老人夫婦が立っているな、幸
せそうだな 》
《 おぉ~、手が上がった 》
〚 俳諧人の心の中 〛
お客だ。老人夫婦だ。
二人だ。旦那はツバ付き
のハットをカブリ、杖を
ついてイキなスタイルだ
な。
〚 俳諧人 〛
どうぞ、お乗りください
。
〚 お客様 〛
お願いします。スペイン
大使館まで。
お願いします。
〚 俳諧人 〛
オークラ新館の手前です
ね。
〚 お客様 〛
お願いします。
〚 俳諧人 〛
メーターを入れます。
お願いします。
〚 お客様 〛
お願いします。
〚 俳諧人 〛
パーティの出席ですか。
〚 お客様 〛
主人が、以前、スペイン
大使館に務めていまして
ね。
今日は、招待を頂きまし
てね。
〚 俳諧人 〛
近かったので、もう着き
ましたね。
〚 お客様 〛
うむ~、ここは、どこだ
。違うような気がする。
スペイン大使館だけどね
。
〚 俳諧人 〛
ここが、スペイン大使館
の門の前ですが。
違っていますか。
反対側は、最近できたシ
ロヤマヒルズですがね。
〚 お客様夫人 〛
主人は、最近認知症を患
いまして。
〚 俳諧人 〛
無理をさせてはいけませ
ん。ここは、ジックリ待
ちましょう。
ご主人の認識を待ちまし
ょう。
認知症と決めたやり方は
、ご主人にとって、よく
ありません。
ここは、ジックリ待ちま
しょう。
〚 お客夫人 〛
ありがとうございます。
〚 お客様旦那 〛
おぉ~、スペイン大使館
の前についたな。
降りるぞ。
〚 お客様夫人 〛
はい、はい、分かりまし
た。
〚 お客様がた 〛
普通に戻られましたね。
良かった。
〚 お客様夫人 〛
ありがとうございました
。お世話をかけました。
〚 俳諧人 〛
認知症は、年を取ったら
誰でも始まります。
周囲が、自分の判断で認
知症と決め付けることが
、良くありません。
年を取ったら、その人に
は、時間があります。
待ってあげればよいこと
です。
運賃は、・・・・・円になり
ました。
お忘れ物に気を付けて、
降りて下さい。
ありがとうございました
。
東京漫遊談笑 NO25』
【 渋谷の若者の礼節の談笑 】
《 ひぇ~、何だこれは 》
《 渋谷スクランブル交差点を大
勢の若者が交差している 》
《 人また人だ、さすが、ハチ公
前のJR、東横線、井の頭線
の拠点だ 》
《 おぉ~、こんなヒトゴミでも
、手が上がった 》
〚 お客様 〛
こんばんは、お願いしま
す。
〚 俳諧人 〛
どうぞ、お乗りください
。
〚 お客様 〛
お願いします。歌舞伎町
のフウリン会館。
お願いします。
〚 俳諧人 〛
明治通り、区役所通りか
らで、いいですか。
〚 お客様 〛
お願いします。
〚 俳諧人 〛
メーターを入れます。
お願いします。
〚 お客様 〛
お願いします。
〚 俳諧人 〛
渋谷も人々で一杯だけれ
ども、歌舞伎町も凄いん
でしょうね。
〚 お客様 〛
バブルは、弾けたときと
はいえ、まだまだ、俺た
ちは飲み足りないのよ。
お兄さんも、どう~、一
緒に飲みにいかない。
〚 俳諧人 〛
私は、28歳で酒を断ち
ましたから、飲めません
ので、ダメす。
〚 お客様 〛
そうか。残念だな。
そのうちにしよう。
〚 俳諧人 〛
いゃ~、歌舞伎町も凄い
人だ。
これでは、お店も一杯で
入れないかもしれません
ね。
〚 お客様 〛
そこは、大丈夫。
手は打ってありますから
。
〚 俳諧人 〛
そうですか。
しかし、お客様の礼節は
、たいしたものですね。
みなさん礼節正しい方ば
かりですね。
〚 お客様 〛
いやぁ~、こっちは遊ん
でいるのに、そちら様は
、お仕事中ですからね。
帰りには、ゲロして世話
になることもあるしね。
〚 俳諧人 〛
いやぁ~、お互いさまで
すよ。
〚 お客様 〛
おぉ~、着いたぞ。
降りるぞ。
〚 俳諧人 〛
運賃は、・・・・・円になり
ました。
お忘れ物に気を付けて、
降りて下さい。
ありがとうございました
。
〚 お客様 〛
今度会ったら、飲みに行
こうよ。
ありがとさん。
〚 俳諧人の心中 〛
渋谷の若者は、品行も、
礼節も、立派だった。
人によりけりだろうけど
、安心したな。
ノンダクレした帰りは、
定かではないけどな。
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