『 東京漫遊談笑 Ⅰ、Ⅱ NO16・NO17 』
【 国際文化会館泊の[ 老先生 Ⅰ ] 】
〚 俳諧人の心の中 〛
ここは、新橋エクセル前
だ。懐かしいな。ここに
は、小さな窓があるテン
ト小屋よような建 物があ
り、その小窓で、競馬の
馬券(場 外馬券場)が売
られていた。周囲は、新聞
を片手に握ったおっさんが
ウヨウヨしていた。
その後、ニュー新橋ビルが
出来、その周辺は、エクセ
ル広場となり、変わってし
まった所だ。
《 目の前に杖をついたご老人が
、立っている。 》
《 おぉ~、お客様だ、手が上が
った。 》
〚 俳諧人 〛
・・・・お待たせしました。どうぞ。
〚 お客様 〛
六本木の国際文化会館に
、お願いできるかな。
〚 俳諧人 〛
はい分かりました。
道順は、私の方で宜しい
ですか。
それでは、メーターを入
れます。お願いします。
〚 お客様 〛
途中で下着を買いたいの
だが、お願いできるかな
。
〚 俳諧人 〛
下着ですか。
どうかしましたか。
〚 お客様 〛
いゃね~、家を出て一
週間になるんだが、学
会が延びて持ち合わせ
の下着が足りなくなっ
てしまい、困っている
のだが~。
下着を買ったことがな
くて、買い方が、わから
ないんでね。
買ってきてくれないか
ね。
〚 俳諧人 〛
宜しいですよ。今は、
スーパーに行かなくて
も、パンツ、アンダーシャ
ツ類は、コンビニに行か
なくても買えますから
ね。
大きさは、Lでいいです
ね。小さいより大きめの
ほうがよいでし ょう。
〚 お客様 〛
いやぁ~、助かるね。
〚 俳諧人 〛
学会のお集まりとは、大
変ですね。何の分野です
か。
〚 お客様 〛
考古学だよ。人類学とも
いえるかな。
古物的な分野ではなく、
人類民族的分野でね。人
類民族的分野での生い立
ちが、遺伝的にどんな資
質の変化をもたらして来
ているか、そして、現在
どう現れてきているかを
考える分野かな。
〚 俳諧人 〛
そういえば、先程の買い
物のお駄賃をいただいて
おりませんが、よろしけ
れば、お駄賃の代わりに
、何かお聞きすることは
できませんか。
〚 お客様 〛
うむ~、お駄賃か。
それは、考えていなかっ
たな。
それもそうだな。
それで、お駄賃の代わり
に聞きたいことがあると
言うのかね。
君はそれでいいんだな。
じゃ~、真面目に答え
よう。
〚 俳諧人 〛
それではお聞きします。
今、世間では、成果主
義なる考え方が広まり
つつあります。
これまで年功序列型に
慣れ親しんできた私に
は、不安を感じています
。これについては、今
後どうなりますでしょ
うか。
お聞きしたいのです。
〚 お客様 〛
その話か。
・・・うむ~、君、君が
心配するようなことで
はないよ。
結論はみえているよ。
日本人は、縄文時代の
遺伝子と、弥生式時代
の遺伝子を合わせ持っ
て生きているよ。
狩猟民族の縄文時代の
遺伝子と、農耕文化の
弥生式時代の遺伝子を
、持って生きているの
だよ。
農耕文化の弥生式時代
の遺伝子を持った人が
、95%以上で、狩猟民
族の縄文時代の遺伝子
を持った人は、残り1~
5%の数%しかない。
アメリカやその他の西
側諸国の所得分配の様
を見聞きして、日本型
社会のピラッミド型組
織に不平を感じた面々
が、所得分配について
も、不公平感を持ち是
正を騒いでいる話しだ
よ。
狩猟民族の遺伝子を受
け受け継ぎもっている面
々は、このアメリカやそ
の他の西側諸国の所得分配に協賛することと
なり、呼応した話しだ
よ。
日本人の中の、縄文時
代の遺伝子を持った面々
の手探りだよ。
定着型の農耕弥生式文
化を持ったピラッミド
社会に生きる面は、一
時的には、縄文時代の
遺伝子を持った面々に
呼応することがあって
も長期的には、ないと
言える。
20~30年の時を経れば、
つまり、社会の趨勢が
入れ替われば、自然と
遺伝子が解決していく
ことだよ。
これが、成果主義に関
する答えだよ。
〚 俳諧人 〛
いやいや、丁寧なお応
え、ありがとうござい
ます。よく理解し、今
後に安堵しました。
しかし、専門とは言え、
考古学も、先が見えて
なかなかの学問ですね。
〚 お客様 〛[ 老先生 Ⅱ ]
続いて、日本人の分析
をしておこう。
日本人も、さっきのと
おり、狩猟民族の縄文
時代の遺伝子と、農耕
文化の弥生式時代の遺
伝子を、持って生きて
いる。
農耕文化の弥生式時代
の遺伝子が、95%以
上で、狩猟民族の縄文
時代の遺伝子は、残り
1 ~5%の数%でしか
ないと話ししが、これは
地域性だけによらず、
親子兄弟にも及んでいる
。
地域の範囲でいうなら
ば、しいて東京近隣で
いうならば、漁師町の
佃島界隈は、狩猟民族
の縄文時代の遺伝子を
持った人が住み、かつ
割の分配のなごりが残
っている。
この分配のなごりも、
それを現すと言える。
かつ割の分配とは、船
網元の漁獲を決め、そ
れを除いた漁獲を、そ
の漁獲に携わった人数
で平等にかつ割し分配
することだよ。
これを人について考え
れば、同じ兄弟でも性
格の似た兄弟もいれば、
まったく違った性格の
兄弟もいる。どんな仕事
に就くかにも現れる。
君は、この仕事について
いることを考えれば、狩
猟民族的様子が伺えるな
。
この仕事は、客を捕る仕
事だからな。
狩猟的仕事だ。
しかし、体質的にもその
違いが現れることがある
。顔のヒゲの濃さ加減に
もみえるよ。しかし、君
は、髭の濃さがそんなで
もないから、狩猟民族的
と言ったんだが、弥生式
農耕文化の遺伝子が見え
隠れしている。
同じ兄弟でも、子のヒゲ
の濃さ加減にも現れたり
、先程の分配の考え方に
も現れたりもする。
それぞれ、成果の分配を
考えるとき、かつ割の分
配にするか、ピラッミド
型に考えるか、いずれに
しても不公平感を抱かな
い選択をする如何で分か
ることだよ。
〚 俳諧人 〛
いや~、先生の下着の
お手伝いのお駄賃の代わ
りとは言え、時代を一刀
両断したお話し、いわゆ
る考古学の先生の論説を
いただくことになり、恐
縮の至りです。
日常の難題を解決され、
また分野を変えた理解の
原点を学びました。
大変、ありがとうござい
ました。
〚 お客様 〛
慣れないことを頼んでし
まったよ。
女房は、一週間の学会出
張で一週間分の下着しか
バックに入れてくれなく
て困っていたんが、乗る
とき、君を見て、頼めそ
うな感じがして乗せても
らったんだよ。
〚 俳諧人 〛
私にも、この国際文化会
館が、思い出の会館にな
りました。
料金は、・・・・円になりま
す。
お忘れものがないよう、
気を付けてください。
ありがとうございました。
〚 お客様 〛
おぅおぅ、安心して泊ま
れるよ。
ありがとう。
〚 俳諧人の心の中 〛
考古学者の、一刀両断な
解答だったな。
お駄賃をと言われて、真
剣に語ってくれたな。
思い出に残る老考古学者
の先生だったな。
『東京漫遊談笑 NO18』
【 六本木のママさん 】
《 ここは、六本木交差点 》
《 なんと、信号が代わるたびに
、足の踏み場がないほど、人
が渡ってくるではないか 》
《 おぉ~、アマンドだ。華やい
だ街だ 》
〚 俳諧人の心の中 〛
この景気の勢いは、何だ
ろう。
バブル真っ盛りの酒場街
だ。
新橋から1,000円にもなら
ないのに、お客は10,000
円おいて、お釣りはチッ
プだと言って降りていっ
た。空恐ろしいことだ。
《 いつもの六本木のママさんが
、窓から「 帰るわよ。 」と
声を掛けると同時に、ドアか
ら乗り込む 》
〚 俳諧人 〛
・・・お待たせしました。
どうぞ。お帰りですね。
分かりました。
メータを入れます。
お願いします。
〚 お客様 〛
ねぇ~、毎日忙しいわね
。どう、あんたは!
何だ、シケた顔している
わね。
〚 俳諧人 〛
今日は、近くの人が多く
てね。
売り上げは、延びなかっ
たんですよ。
〚 お客様 〛
そうだったの。
帰りにお茶でも飲んで
いきなさい。
〚 俳諧人 〛
はい、お邪魔します。
〚 お客様 〛
赤坂に電話してみる。
赤坂の一ツ木通りのクラ
ブに行ってみなさい。
〚 俳諧人 〛
すみません、行ってみま
す。
〚 お客様 〛
よろしくね。頼んだよ。
〚 俳諧人の心の中 〛
えらいことになったな。
いつものお客さんだから
、本音を言ってしまった
けど。
えぇ~と、赤坂一ツ木通
りのあのクラブだな。
《 おぉ~、お店の人と一緒に人
が立っている。この方だな 》
〚 俳諧人 〛
どうぞ。
〚 待っている次のお客様 Ⅱ 〛
いやぁ~、ラッキーだ。
ありがとう。遠いけどい
いかな。
茅ケ崎駅の近くだ。
〚 俳諧人 〛
飯倉から首都高で、狩り
場から横浜新道国道1号
を行きますが、よろしい
でしょうか。
〚 お客様 Ⅱ 〛
お願いするよ。
〚 俳諧人 〛
それでは、メーターを
入れます。お願いします
。
〚 俳諧人 〛
私も、寒川の手前のオー
バルの出入口の会社にい
たことがあります、茅ケ
崎は、生活の中にありま
したから、分かっていま
すよ。
〚 お客様 Ⅱ 〛
そうだったのか。
このタクシーが捕まらな
いときに、来てくれて助
かったよ。
しかし、無線配車でもな
いのに、クラブのママは
よく配車してもらったな
。助かったよ。
〚 俳諧人 〛
おぉ~、そうでしたか。
いや~、良かった。
私は、六本木のママが
手配してくれたんですよ
。
シケた私を思ってお客さ
んを探してくれたんです
よ。
気のきいたママさんの心
配りですよ。
なかなかの振る舞いです
ね。
〚 お客様 Ⅱ 〛
いい店は、どこまでもい
い巡り合わせがあるね。
〚 俳諧人 〛
そのようですね。やはり
、さすがは、六本木、赤
坂界隈の街です ね。
お客も一流なら、お店の
方も一流ですね。
〚 お客様 Ⅱ 〛
おぉ~、速いね。
もうすぐだな。
ありがとう。
〚 俳諧人 〛
料金は、・・・・・円になり
ます。
お忘れ物がないよう、
気を付けてください。
ありがとうございます。
『東京漫遊談笑 NO19』
【 箱崎から成田空港 】
《 絶叫の泣き声 》
《 女性のカンダカイ泣き声と
「ヘルプ、ミ、プリーズ」と
絶叫する声 》
《 何だろう、この騒ぎは。 》
《 お客を降ろしたばかりの私の
車に、エントランスボーイと
泣き叫ぶ外人の女性が近づい
てくる 》
〚 ボーイ 〛
すみません。
乗車できますか。
〚 俳諧人 〛
今お客をおろしたところ
ですが、どうされました
か。
〚 ボーイ 〛
ここに待機している空車
が、成田へ行って貰えなく
て困っています。
成田空港へ行って貰えま
すか。
《 [ 泣き叫ぶ外国の女性 ]が
泣き叫びながら「ヘルプ .
ミ . プリーズ」と懇願する 》
〚 俳諧人 〛
ボーイさん、ここに待機
している車は、成田に行
きたくて待機していると
思うんだけど、どうして
いけないの。
ヘンだね。
〚 ボーイ 〛
声を掛けても、断られま
した。成田へお願い出来
ませんか。
《 また、強く[ 泣き叫ぶ外国
の女性 ]泣き叫びながら
「ヘルプ .ミ .プリーズ」
と懇願する 》
〚 俳諧人 〛
エントランスのボーイ
さんが指示するのであ
れば、ここは指定の乗
車口ではないけれど、
お乗せしましょう。
それでは、どうぞお乗
り下さい。
〚 泣き叫ぶ外国の女 〛
ヘルプ . ミ . プリーズ .
サンキュウ .アイ .
アライブ . 7:30 .
オクロック .ツウ .ナ
リタ 。
アイ .アム .アメリカ
ンエアーライン .スチ
ュワーデス。
〚 俳諧人 〛
えぇ~、今7時過ぎで
7:30までに成田空
港へ。
それは無だ。
だから、待機の車は、
逃げていたのか。
ウォッツ .フアイ .
タイム .リミッタ❓。
〚 泣き叫ぶ外国の女性 →
スチュワーデス 〛
アイ .ゴウ .ツウ .ナ
リタ .バイ .アザータ
クシー。
バァッ .ミス .ナリ
タコース。
アンド .トラブル 。
アンド .チェンジタク
シー。
アンド .ナ ウ。
〚 俳諧人 〛
アイ .アンダスタンド。
アイ .ゴウ .ツウ .
ハリアップナリタ。
ユア .ボデイ .
・・・ダウン。・・・ダウン。
《 京葉道路宮野木から東関東道
に入ろう。距離が多少短縮で
きる 》
〚 俳諧人の心の中 〛
高速とはいえ、巡航速度
では間に合わない。
ここは、国際親善と思え
ばいい。スピードを上げ
よう。
横浜の日産サーキットの
走行テストなみに。
途中のオービスは10キ
ロ減速で通過しよう。
仕事エネルギーは2乗比
だ。
減速10キロ減速であれ
ば、オービスにかかるこ
とはない。
頭は、決まった。
あとは、F1ごとき走行
だ。20代に培った新車
走行テストの腕を使おう
。
あとは、俺と客との体重
で車高重心を低くして、
ケツのブレを防いでいこ
う。
〚 俳諧人 〛
あまりのスピードに驚き
、座席から乗り出すと
[ 泣き叫ぶ 外人の 女性 →
スチュワーデス ]に、
ユア .ボデイ .ダウ
ン。
・・・ダウン。・・・ダウン。
頭を押さえ、ユア .
ダウン。
・・・ダウン。・・・ダウン。
《 ほんの15分くらいの戦いは
終わった 》
《 うむ~、7時25分だ。荷物
チェックのゲートだ 》
《 車を従業員入り口に回す。
[ お客様のスチュワーデス ]
に向かって 》
〚 俳諧人 〛
ハリアップ .ランニング。
〚 お客様のスチュワーデス 〛
従業員入り口で立ち止ま
ると、振り向いて車に向
かって走ってきた。
〚 俳諧人 〛
忘れ物だ。
えぇと~、・・・・・・。
《 ドアが激しく開き、私を抱き
かかえんばかりに引き寄せて
、強い熱い抱擁をうける 》
〚 俳諧人 〛
おぉ~、7時27分です
。間に合いましたね。
ユー .アー .グッド。
おぉ~、泣きじゃくって
くっていたので、顔を見
なかったけど、
マリリンモンローそっく
りな美人だね。
グッド .グッドだね。
ソー .ロング。ハブ .
ユー .グッド .デェイ。
さよなら。
〚 俳諧人の心の中 〛
いやぁ~、びっくりのこ
とだった。さぁ~、会社
に戻ろう。
《 会社に着く 》
〚 会社のひと 〛
だれか、警察に電話し
ろ。
〚 俳諧人 〛
どうかしましたか。
〚 会社のひと 〛
お前の顔を見ろ。
何やったんだ。
〚 俳諧人 〛
えぇ~、あぁ~、顔が
斑状になっている。
あの抱擁のときに、い
ただいたものだ。
あぁ~、これは、成田
の客が間に合って、う
れしくて、抱擁してく
れたときに、もらった
ものです。事件ではあり
ませんから。
《 一件落着 》
『東京漫遊談笑 NO20』
【 門仲交差点から羽田空港 】
《 門仲交差点での朝8:20
の出来事 》
《 雨の中傘をさした中年事務
員のすすり泣く姿 》
《 どうしたんだろう、女性の
中年事務員さん 》
《 雨の中、書類片手に立って
いる 》
〚 俳諧人 〛
どうしました。乗車で
きますよ。
いま、お客を降ろした
ばかりですが、お乗り
になるんであれば、
どうぞ。
〚 女性の中年事務員 ⇒
お客様 〛
どなたも、止めてくれな
くて立っていました。
この書類を羽田空港で待
っている社長に、8時 20
分に、渡さなければなり
ません。
しかし、タクシーが止ま
ってくれなくて、この時
間になってしまいました
。
〚 お客様 〛
どうにかなりますか。
〚 俳諧人 〛
進みたい方向は、渋滞で
進めませんね。
うむ~、対向車線、ガラ
ガラですね。
これを利用しましょうか
。
〚 お客様 〛
お願いします。この書類
がないと、社長は、飛び
立つことができません。
〚 俳諧人の心の中 〛
これは、逆走で行くし
かないな。陸送時代に
培った逆走でいくか。
お客さんは、怖いだろう
な。
吾輩は仕事で培っている
から、平気だ。あとは、
交番のお巡りさんが、
気づくかだな。
よしやろう。
〚 俳諧人 〛
お客さん、驚かないで
くださいね。ありえな
い走行をしますから。
私は、慣れていますか
ら、心配ご無用ですか
ら。
〚 お客様 〛
はぁ~、お願いします。
〚 俳諧人 〛
交番のお巡りさんは、
空を見上げていますね。
良かったですね。
無事に、高速の入り口ま
で来ましたね。今、8:
25ですね。羽田まで後
5分あります。ギリギリ
間に合うかもしれません
ね。
羽田に着きましたよ。
8:30です。
〚 お客様 〛
あぁ~、社長がいました
。
間に合いました。
〚 俳諧人 〛
良かった。良かった。
料金を済まして、早く書
類を渡して下さい。
《 一件落着 》
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