東京漫遊談笑 NO 6 ~ NO10

『東京漫遊談笑 NO6』

【 小伝馬町へのお参り 】

《 お~待つな~ 》
    東京八重洲は、今日は、
    人の出入りが、少ない
    な。
    もう30分以上も並んで
    いるな。
    大丈夫かな!。
    うぅ~ん、
    あと5番だ・・・・・。

 〚 俳諧人 〛
    そろそろだな。
    おぉ~、年老いたお婆
    さんが順番だべ。
   三越だな、装いは、し
    っかりしている。買い
    物だろう。
   まぁ~いいか~、お付
    き合いするか。チョッ
   トの間だべ。
《 ほっほ~ 》 
 〚 俳諧人 〛
    お待たせしました。
   どうぞ。ゆっくりお乗
りください。
 〚 お客様 〛
    いや・・・・どうも、あり
    がとうございます。
   新幹線で、今東京駅に
着いたところです。
   初めてでして、東京は。
   なんせ勝手が分からて
なくね~。
   年も年だしね。
   東京のタクシーは、き
れいですね。安心しま
したよ。
   イッチョビラの着物で
ね~。
 〚 俳諧人 〛
    そうでしたか。新幹線
でお着きでしたか~。
    装いが礼装なので、挨
拶前の買い物ですか。
    そうでしたら、近くの
三越デパートが、よろ
しいでしょう。
 〚 お客様 〛
    い~え、ご存じですか
ね。
  江戸の処刑場跡地で、
    小伝馬町牢屋の跡を。
 〚 俳諧人 〛
     えぇっ~。
    そんな~、まさか。
     ・・・・はい、存じていま
    すが~。お参りができ
るよう、供養の燈が、
おかれているお堂があ
    りますが、そちらに向
かいますか。
    それでは、そちらに向
    かいます。
それではメータを入れ
ます。
   よろしくお願いします。
 〚 俳諧人の心の中 〛
    このお婆さんは、大丈
夫かな~。
気がおかしいのかな~。
    まあ~、世の中、色々
な人がいるからな~。
    取り合えず、送ろう。
 〚 お客様 〛
    すみませんね~。
 〚 俳諧人 〛
    いぇいぇ、気にしてい
ませんから。
    近いのでも、もうすぐ
着きますよ。
    こちらになります。
 〚 お客様 〛
    ありがとう。
    私はね。お参りが済ん
    だら、東京駅に戻りた
いのですが・・・・。
    このまま、ほんの20分
位で済むから、待って
くれませんか。
 〚 俳諧人 〛
    はい~。こちらで、待
    っていますから。
 〚 お客様 〛
    お願いします。
    では、いってきます。
 〚 俳諧人の心の中 〛
    ここにお参りされると
は。初めてだ、尋常な
ことではないな。
    なにか、深い思いが、
あるかもしれない。
    ちょうど、私が、朝、
出庫一番に、泪橋の先
にある、小塚原
    の回向院に、遠目に手
を合わせ、 萩の吉田松
陰を、偲び、お
    参りするように。
    しかし、新幹線で来て、
    江戸の処刑場の跡地の
    小伝馬町牢屋に、お参
    りとは、恐れ多いこと
だな。
    なにかの、ついでだろ
    うか。
 〚 お客様 〛
    お待たせしました。
    お蔭様で、心が晴れま
した。
 〚 俳諧人 〛
    はあ~。それはよろし
ゅうございました。
    でも、今日は、どちら
から来られましたか。
    ここは、江戸時代に、
罪人あるいは幕府に
とって不都合な人
    を、処罰したところで
す。どなたかのご供養
    ですか。
  お話しされて不都合が
なければ、お聞きした
    いのですが。
 〚 お客様 〛
    実は、江戸時代の天保
年間に、先祖様が、こ
ちらで処刑されまして、
    その後身内の誰も、
    こちらに、ご供養の、
    お参りを果たすことが
    、出来ずにいました。
    今日、それ以来、やっ
    とご供養の、お参りを
    、果たすことが出来ま
    した。
    里のことを話しますと、
    私どもは、天保年間に、
    百姓一揆を起こし、そ
    の首謀者として江戸に、
    送られ、処刑された者
    の、子孫です。
    この一揆は、幕府に対
    して起きた、一揆でし
    た。
   その一揆は、その後、
幕府に抵抗する、いろ
    いろな倒幕の動
    きの流れの中で起きた、
    先駆けの一揆でした。
    その後、いろいろな倒
   幕の動きが、起こりま
    したが、ご先祖様が起
    こした百姓一揆が、反
幕府への最初の騒動で
した。
    私は、幕府に抗した、
その一揆がなければ、
倒幕の流れは、なかっ
たと、とさえ思ってい
ます。 
    幕府に反旗を示し、騒
動を起こした、ご先祖
様が、倒幕の先頭を走
ったと思っています。
    お陰様で、天保以来、
やっと、ご供養の、お
    参りを果たすことが 出
    来ました。
大変に、ありがとうご
    ざいました。

 〚 俳諧人 〛
    いやあ~。200年になろ
    うとする年月を経た今
    日、ご一緒に、 お参拝
    が、出来たような思い
    です。
    故人も、さぞ、ご無念
    が、晴れた、ことでし
ょう・・・。
    さて、お帰りは、この
八重洲口で、よろしゅ
うございますか。
      しかし、お客様の振る
舞いは、ご立派なこと
で、身にしみて、感服
しました。
 〚 お客様 〛
    とんでもない。
   一族として、はじめて、
ご供養の参拝が叶って、
   ありがとうございまし
   た。
《 ガシャ 》
 〚 俳諧人 〛
   運賃は、・・・・円になり
    ました。
   忘れ物に気をつけて、
    ゆっくり降りて下さい。
   ありがとうございまし
    た。
 〚 お客様 〛
   ありがとう。
 〚 俳諧人の心の中 〛
    うぅ~ん、幕末前の時
    代の、近江の百姓一揆
    (土川平兵衛等)であ
    ろう。
  この一揆を境に、幕府
    に対して反旗の気運が
起こり、時は流れ、そ
   して幕末の時代へと歴
史は、展開していった
と、学習で学んでいた
が、なんと、その関係
者とは・・・・・・。
    恐れ入ったな。
    時代は、過ぎていって
    も、人の思いは、変わ
らず、引き継がれてい
る。


『東京漫遊談笑 NO7』

【 馬喰横山の東日本橋問屋街 】

《 目が血走った人の流れか! 》
   ひぇ~。ここは馬喰横山
   の東日本橋問屋街だ。日
   本の物流の最先端だべ。
 〚 俳諧人の心の中 〛
    足が速いね。
    さすがだ、用事を抱えた
    人の流れだべ。
    オットット!。人が寄っ
    てくるぜ。
《 ほいきた~ 》
 〚 俳諧人 〛
       お待たせしました。
   どうぞ。
   乗ってり下さい。
 〚 お客様 〛
       よ~よ~、グルグル回る
    よ。
いいか~。ありがとう。
       そっちを向いてないで、
    こっちを向いてくんな。
    いい顔してるね~。血色
がいいね。
    よし、昭和通りの本町側
    に行ってくんな。
     5~6ヶ所いくからよ。
 〚 俳諧人 〛
       ではメータを入れます。
       忙しい、用向きようで
    すね。
《 ガシャ 》
 〚 お客様 〛
       う~ん、買掛けの伝票
    届けと、支払いと、集
    金だよ。
       俺の仕事だよ。中小企
    業の現状だよ。
 〚 俳諧人 〛
       へぇっ~。
    中小企業の現状ですか。
       社長も、楽ではないで
    すね。支払いと集金と
    は。
       会社に戻ると自分のお
茶は、自分で入れてね。
       はぁはぁ~・・・・。
 〚 お客様 〛
    おっおっ。そこでいい。
    待ってておくれ。

 〚 俳諧人 〛
    はぁ~い。お待ちしま
    す。

 〚 俳諧人の心の中 〛
    皮肉をいったのは、分
    かったかな。
 〚 お客様 〛
    次は箱崎の蛎殻町だ。
    交差点でいいからよ。
 〚 俳諧人 〛
     はい、分かりました。
蛎殻町の交差点ですね。

 〚 お客様 〛
    よぉよぉ。それはそう
    と、さっきの「自分の
    お茶は、自分で入れて
    ね」は、気になっただ
    がね~。 俺を見ている
    ようだが。

 〚 俳諧人 〛
    いや~、以前、知り合
    いになったおやじさん
が、会社にいってみる
    と、きゅうすにお湯を
入れてお茶を入れてお
    茶を飲んでいる様子を
見ましたから、その時
を思い出してつい喋り
ました。
 〚 お客様 〛
    おっお~。そうだった
のか。
    どっかで会ったかなと
    思ってね。
    次は集金だ。
    日本橋室町三丁目だ。
    江戸通り沿いにいくか
らね。

 〚 俳諧人 〛
    はい、分かりました。

 〚 お客様 〛
    おぉっ、そこでいいよ。

 〚 俳諧人の心の中 〛
    さっきの皮肉は、ちゃ
    んと分っていたのか。
    どうして、どうして。
    ものわかりのいい旦那
    だ。
    一瞬を見逃さないな~。

 〚 お客様 〛
    お待たせ。次は、大伝
    馬町だ仲間内の所だ。
鞍掛橋から入った所だ。
 〚 俳諧人 〛
    はい、分かりました。
    それはそうと集金した
    お金は、無造作に車に、
置きっぱなししな いで、
    管理して下さい。
    このまま、私がトンズラ
    することも考えて下さい
    。
 〚 お客様 〛
    お前さんは、こんな500
    万足らずの端た金でトン
    ズラする柄じゃないから
    大丈夫だ。
 〚 俳諧人 〛
    はぁ~、そうだな。
    どのくらいなら考える
かな~。
    いや~ぁ、国家予算く
らいの額なら、トンズ
ラを考えるかもね。
    過去には、1000万を見
    せたりして会社で、働
かないかと言って私の
    身柄を手に入れようと
    したご人もいましたが、
    お断りしたことがあり
    ましたよ。
    私は、16才から、国の
    エネルギーのことを考
    えて勉学して来ました
    からね。
    それが、国家予算とい
    う額になるんですよ。
    でも、泥棒は泥棒です
から、1円でもしては
いけません。
    これは、社会の条理規
    範の基本ですからね。
    額の云々ではありませ
    んね。
 〚 お客様 〛
    そんなことがあったの
か。
そのことは、お前の人相
に描いてあるよ。
    ああ~。そこでいい。
 〚 俳諧人 〛
    じゃ~、こちらでお待ち
    します。
 〚 お客様 〛
   いやぁ~。ここで終わっ
    た。
    次は、浅草橋だ。江戸通
    り沿いだ。
 〚 俳諧人 〛
    旦那さん。言わしてもら
いますが、今の時代は、
   もう銀行での振り込み、
    伝票のFAX送信も可能な
    時代になっています。
    従って、一々訪問して、
    用を果たす時代ではない
ように、思いますが。
    どうでしょう。
 〚 お客様 〛
    馬鹿もん、お前は、そん
なことも分からないの
か。
    ・・・・いいか~。
    商売とは、人と人の取引
   だ。一番大事なことは、
    自分の元気な姿を相手様
    に見ていただいて、そし
    こちらも、相手様の元気
    な様子を見て、今後も筒
    がなく取引していけると
    いう、信頼関係を得るこ
    となんだ。
    こうやってお窺いするの
    は、意味がある大切なこ
    となんだ。
    覚えとけ!。
    ああ~。そこでいい。
    待っててくれ。

 〚 俳諧人 〛
    分かりました。    

 〚 俳諧人の心の中 〛
    いやあ~。びっくりした
    。
    気に障ることをいってし
    まったな。
    俺としたことが。
    しかし、サイコロは、
    ふってしまったのだ。
    出た口は、社長の訓示だ
。黙って聞くしかない。
    ありがたいことだ。
   俺の学生時代の遺品とも
    いえる、写真伝送装置の
お披露目かと思 いきや、
社長の訓示に変わろうと
    は、びっくりだ。
    しかし、この社長の訓示
も、立派だ。
    心に届めておこう。
 〚 お客様 〛
    うう~ん、今日は、無事
    に終わったよ。
お陰様で。
    しかし、怒鳴ったりして
    先程はすまん。
    本気になったよ。
    許せよ。
    お陰様で、今日は、一期
    一会の時を持てたよ。
    ありがとう。
    あと1軒は、会社の2軒
    隣だ。
歩きで、大丈夫だ。
 〚 俳諧人 〛
    いえいえ、旦那様の訓示
    を肝に銘じ、これから人
    生を生きていきます。
    ありがとうございました
    。
《 ガシャ 》
 〚 俳諧人 〛
   運賃は、・・・・円になりま
    した。
   忘れ物に気をつけ、降り
    て下さい。
   集金のお金もお忘れない
   ようにお願いします。
    ありがとうございました
 〚 お客様 〛
    ありがとう。
    またの機会まで。
 〚 徘徊人 〛
    うう~ん、いい出会いだ
    ったな。
   ありがとう。なかなかの
    馬喰横山の問屋街の旦那
    だったな。




『東京漫遊談笑 NO8』

【 仕手職の街 人形町・兜町 】

《 穏やかな人の流れだ! 》
   何もない、ただの飲食街
だべ~。
   年寄りが、ちらほらで、
あとは若い人だべ。
 〚 俳諧人の心の中 〛
    オオッ~!。
    人が、車のドアの横に、
立っているではないか。
《 ほいきた~ 》
 〚 俳諧人 〛
    お待たせしました。
 〚 お客様 〛
    オイ~、空車だろう。
信号待ちとはいえ、窓
の遠くばかり見て、俺
のことに気が付かない
でいたね。
    いいかい~、乗って。
《 ドアが開いて、お客が乗り
  込む 》   
 〚 お客様 〛
    ありがとう。
       ここは、銀座通りだ。
    その先に、お店があるだ
    ろう。そこに行くから。
    買い物がすんだら、帰る
から、待ってておくれ。
 〚 俳諧人 〛
    どうぞ、では、メータを
入れます。
     ここは、銀座通りではあ
りませんよ。
    場所違いでは、ありませ
    んか。
 〚 お客様 〛
    アァ~。君、若かったね
    。知っているわけ、ない
    ね。
    ここの先にも銀座があっ
    て、この通りも、銀座通
りと、言ったんだよ。
    銀座というのは、貨幣価
    値が、低いから、あちこ
    ちにあったんだよ。
    だから、ここも、銀座通
    りと、言うんだよ。
    全国、どこに、行っても
    、銀座通りは、あるよ。
 〚 俳諧人 〛
    なるほど、分かりました

    うぅ~ん。以前、年のい
ったご老人が、大岡越前
の屋敷跡を探してくれと
    、と言って頼まれまして
    、探したんですが、見付
    かりませんでした。
   それも、この通りの裏の
通りで、銀杏稲荷の神社
から入った先と、いうこ
    とで。歩いて探したんで
すが見付かりませんでし
た。
   近くの大きな敷地は、小
    学校がるくらいで、見付
    かりませんでした。
    そうそう、あの稲荷神社
    は、見た目、うっそうと
しているけど、従一位の
    、大社格の神社だそうで
    、大した神社だそうです
   ね。
 〚 お客様 〛
    お~。あの爺さんかな。
    いい吾人を、乗せている
   ね。お前さんは。
   話が長くなった。
待ってておくれ。
 〚 俳諧人 〛
    はい。
ここで、待っています。
 〚 お客様 〛
    終わったよ。ばばぁ~が
    、喜ぶよ。
    このまま、真っ直ぐでい
    いよ。
    ぶつかって左にいって、
    次の信号で、いいから。
《 ガシャ 》
 〚 お客様 〛
   俺も、あの爺さんを、
    思い出したよ。
    ありがとう。
 〚 俳諧人 〛
     運賃は・・・・円になります
    。
    お忘れ物に気をつけて降
    りてください。
    ありがとうございました
《 20数年が経つ、ある日の午後
   》
 〚 俳諧人 〛
    信号で、おばあさんが、
    手をあげている。
       寄せよう。
 〚 お客様 〛
   あぁ~。ありがとう。
    荷物重くてね。
     近いんですけど、箱崎ま
で、お願いします。
 〚 俳諧人 〛
   はい分かりました。
    真っ直ぐで、途中の信号
を右でよろしいですか。
   それでは、メータを入れ
ます。
《 プシュ 》
 〚 俳諧人の心の中 〛
    走りながら何を思ったの
    か。
以前の古いお客のことを
、思い出して。
 〚 俳諧人 〛
    お客さん、この通りを、
銀座通りというお客様が
いましたが、知っていま
すか。
 〚 お客様 〛
    いや知りません。
    この界隈の住居、店舗は
、「仕手」屋が住んでい
    て、この人形町、小網町
、小舟町、そして兜町と
続く所は、小豆、米等の
相場値を張る相場師、い
わゆる、仕手戦を張る「
仕手屋」の人達が、いた
所ですよ。
    私の家もその仕手屋が、
稼業でして、すぐ近くに
、住んでいましたが、
    土地が、あって箱崎に移
り住んでいます。
    でも、銀座通りという名
    は、知りません。
 〚 俳諧人 〛
   おぉ~。仕手屋ですか、
    聞いたことがないですね
    。
   仕手戦を張ることを稼業
   にする家のこと、ですか
ね。
   仕手屋とは。
 〚 お客様 〛
    そうだと思います。
    私は、その三代目です。
    仕手で儲かると、人形
    町の料亭に芸者さんを
上げて、ドンチャン 酒
    盛りしていたのですよ。
    芸者さんは、中の橋辺
りを、人力車で、通っ
ていたんですよ。
 〚 俳諧人 〛
    そうだったんですか。
    いやいや、人形町の界隈
の歴史を、偲ぶことがで
きました。
 〚 お客様 〛
    母が90過ぎで、生きてい
    ますから、もっと聞ける
と思いますがね~。
はい、ここでよろしいで
す。
    母のものまで、買ったの
で、重くて、助かりまし
た。
 〚 俳諧人 〛
    はい、えぇー、十分に、
分かりました。
    支払いは、現金ですか、
それとも、交通系、クレ
ジット等ですか。
《 ピィ~ 》    
 〚 俳諧人 〛
   ありがとうございました

    お忘れ物がないよう、
    お気を付けください。
 〚 お客様 〛
    母との会話のネタを頂き
ました。
 〚 俳諧人の心の中 〛
    人形町の街が見えてきた
ぞ。
    銀座通り、大岡越前の銀
杏稲荷大社、仕手の街、
料亭と芸者、
   小 舟町の富士銀行計算セ
   ンタ ー、そして、現代経
   済の指標とも目される、
   兜町の証券取引所のおこ
   り等、更には、金座通り
   の日銀への三菱に点在す
   る、三井系、三菱系、ア
   マタの多くの金融機関の
   存在が、歴史の変遷を示
   すが如く、理解し、見え
   てきたぞ。
これからの因果関係は、
   論説の展開を要すること
   から、OPOの発刊誌【泉
   の扉】世相談話シリーズ
   で、解いていくこととし
   よう。


『東京漫遊談笑 NO9』

【 公園の中にある御寺の由来 】

《 おゃ~、おまわりさんだ! 》
   じ~と、こちらを見てい
   る。何だろう。
 〚 俳諧人の心の中 〛
    オオッ~!。一時停止の
    見張りだ。白線前で、人
が居ようが居まいが、車
    は、一時停止しなければ
ならなない。
    その見回り役の、おまわ
りさんだ。

《 大丈夫だ! 》
   見事に通過する。

 〚 俳諧人 〛
    金座通りを、左に曲がっ
て・・・・お客だ!。
    ・・・・・お待たせしました
。どうぞ。   
《 ドアが開いてお客が乗り込む

 〚 お客様 〛
    東京駅八重洲口まで、お
    願いします。
 〚 俳諧人 〛
    真っ直ぐの、昭和通りか
らで、いいですか。
   それでは、メータを入れ
ます。
 〚 お客様 〛
    お願いします。

 〚 俳諧人 〛
    いゃ~、浜町公園の、一
時停止の見張りのおまわ
りさんが、二人、立って
いましたよ。
    何時ものこととはいえ、
ドキッ~としますね。
 〚 お客様 〛
    地下鉄の駅が、あるから
ね。
    ・・・・広い浜町公園とい
    い、その脇のお寺さんと
いい、分からないね。
何か知ってるかい。
 〚 俳諧人 〛
     あの浜町公園は、徳川の
    江戸幕府時代は、九州の
肥後の熊本藩の下屋敷と
聞いていますよ。
    その下屋敷が、公有地と
なり、公園として、活用
されているみたいですよ

    あの公園のお寺さんは、
不思議な様相ですね。
    私も、このお寺由来を知
りたくて、探りを入れて
みましたよ。

 〚 お客様 〛
    オッ、そうかね。その話
を、聞きたいね~。

 〚 俳諧人 〛
    いゃ~。・・・・の夏に暑い
折、草刈りをしている、
おっさん(年の 頃50過ぎ
の中年)が、いましたか
ら、歩み寄って、話しか
けたんです。
    「暑い中、草取りとは、
大変ですね。」と。
 〚 おっさん 〛
    どうです。お茶でも、飲
んでいきませんか。
 〚 俳諧人 〛
    ありがたい、ありがとう
ございます。
    それでは、本堂に上がら
してもらいます。
  〚 おっさん(このあと、この
お寺の住職と分かる) 〛
   まぁまぁ、広い本堂では
ないけど、どうぞ、お上が
りください。

 〚 俳諧人 〛
    いゃぁ~、暑くてたまり
ませんね。

 〚 住職さん 〛
    私は、ここの住職でして
、草が伸びて、草刈りを
    していましたよ。
 〚 俳諧人 〛
    公園の中に、ポツンと、
お寺がありますね。
    なんとなく、気にしてい
ましたよ。
    いや~、住職さんとは。
 〚 住職さん 〛
    ここは、九州肥後の熊本
藩細川家の下屋敷でして
、このお寺は、公園の
中にあります。
    このお寺は、細川公が、
小倉藩から熊本藩に大
名領地の国替えになっ
    たことで、細川公は、
熊本に移りましたが、
熊本の在来の藩士達は、
    旧藩主加藤清正を崇拝
する者も多く、加藤清
    正を奉る熊本の本妙寺
の末寺として、細川公
によってつくられまし
た。
    参勤交代で、郷里を離
    れ、江戸に来ると、こ
れまで、お参りしてい
た加藤清正公の菩提寺
本妙寺にお参りが、叶
わなくなりました。
    心が落ち着かない家臣
の存在を知ることとな
った、細川公は、家臣
たちが、江戸に行って
も、お参りができるよ
うにと、熊本の本妙寺
の末寺としてのお寺を、
この地に、お造りにな
    ったなった訳です。
これによって、江戸詰
めとなった藩士達は、
江戸に行っても、加藤
清正を奉る本妙寺に、
お参りが、叶うことと
なった、ということで
す。
    まぁ~、細川公の藩士
懐柔策ですね。社長の
従業員対策といったと
    ころですね。  
    しかしながら、こうい
    ったところに気を使い、
新領地の人心 対策を、
施すあたり、見上げた
ものですね。
    この寺は、ほんの100坪
の敷地しかありません。
    また、お墓もないお寺
    です。
    この敷地は、本妙寺の
末寺なっていて、下屋
敷に含まれていない敷
地でした。
    幕末以降、廃藩置県等
により、大名領地等の
下屋敷は、公有地とな
り、一部公園になった
りしましたが、このお
寺の敷地は、お寺の民
有地として残り、今に、
至っています。
    よって、公園にならず
に、お寺は、存続して
います。
    この浜町公園の中に存
続しています。

 〚 俳諧人 〛
    暑いときの熱いお茶は、
おいしいですね。
    今日は、突然のお伺い
で、お茶も、ご馳走に
なり、また、大層なお
    話を、頂きました。
大変、ありがとうござ
いました。
    細川公と言えば、明智
光秀の娘ガラシャ婦人
と、頭をよぎっていき
ますが、こんなところ
にも、知っておかなけ
ればならないことがあ
るとは、〔事実は小説よ
りも奇なり}と言った
    ものですね。
    お陰様で、学なばさせ
てもらいました。

 〚 住職さん 〛
     いやいや~。どういた
しまして。  

 〚 俳諧人 〛
    おぉ~、お客さん、八
    重洲口でしたよね。
    長々と喋ってしまいま
    した。

 〚 お客様 〛
       いゃいゃ、身の入った
話しだったよ。俺の住
んでいるところは、そ
んなところなんだ。
    いや、知らなかったよ。
    聞いていて、役に立っ
たよ。
    あぁ、ここでいいよ。
《 ガシャ 》
 〚 俳諧人 〛
       運賃は、・・・・円になり
   ました。
       忘れ物に気を付けて、
    降りてください。
       ありがとうございました
    。
 〚 お客様 〛
あぁ、ありがとう。

『 東京漫遊談笑 NO10』

【 江戸橋の日本橋郵便局 】

《 そうだ!兄貴さんに書留郵
  便だ 》
   この郵便を、待っている
    だろうな。

 〚 俳諧人の心の中 〛
    なかなか、都合良くは、
いかないな。
    まだ、亀戸だからな。
    三越あたりまで、行く人
    は、いないかな。

《 トントンとドアの音! 》
   えぇ~。

 〚 俳諧人 〛
    お客様だ!。
    ・・・・あぁ~、お待たせ
   しました。どうぞ。
 〚 お客様 〛
    日本橋の高島屋まで、
    お願いします。
 〚 俳諧人 〛
    京葉道路から、蔵前橋を
    渡って左からでいいです
    か。
    それでは、メータを入れ
    ます。
 〚 お客様 〛
    お願いします。
 〚 俳諧人 〛
    いや~、全く、気がつき
ませんで。
考え事をしていまして。
 〚 お客様 〛
    そうでしたか。なにか。
大切なことですか。
 〚 俳諧人 〛
    えぇ~。病気療養をして
    いる兄貴に、送金をした
    くて。
    江戸橋の隣の日本橋郵
    便局で電信為替送金を
しようと、思いまして。
    近くに行くお客は、い
    ないかな~と、願って
    いましたことですよ。
    でも、願いが、叶いま
したよ。
 〚 お客様 〛
    あぁ~。そうでしたか。
    その電信為替送金は、
    便利ですよね。
    その日に着くし、私も
利用したことがありま
す。
 〚 俳諧人 〛
    まぁ~、手前みその用で
すよ。
    あの郵便局は、これまで
何度も、利用しているの
で、勝手が、判っていま
    してね。
 〚 お客様 〛
    裏の花屋さんのところに
、お願いします。
 〚 俳諧人 〛
    はい、ありがとうござい
    ます。
 〚 お客様 〛
    ありがとうございました

    ここにお代は置いときま
すよ。
 〚 俳諧人 〛
    はぁ~、ありがとうござ
    いました。
    あぁ~、お客さん御釣り
が、あります。
 〚 お客様 〛
    お釣りは、志しです。
    取っておいてください。
 〚 俳諧人 〛
    あぁ~、すみません。
気を遣わしてしまいまし
    た。
    ありがとうございます。
    忘れ物に、気を付けて下
    さい。
 〚 俳諧人の心の中 〛
    ここは、 日本橋郵便局
    のすぐそばだ。早く行
って送金しよう。
    これからなら、今日中
に着く。    
    兄貴も安心するぞ。 
    しかし、日本橋郵便局
が、政府郵政の発祥地
とはね。
    なかなかの場所だ。郵便
事業も大切だ。
    官庁街から離れているな

これは、飛脚事業の故か
な。
   これも世相談話で考えて
   みよう。



投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です