『 東京漫遊談笑 NO1 』
『 天神様との係わり 』
《 胸な騒ぎ 》
お~い、ここはどこだ!。
〚 俳諧人 〛
きまってるじゃないか。
“ 亀戸天神様 ”よ。
〚 俳諧人の心の中 〛
先ずは、これからの、お
客様と、この身の旅路の
安全を、祈願しなければ
なるまい。
頭を、二度垂れて
<パンパン>
・・・・今日も、一日、安全
運転を激行します・・・・
どうぞ、ご加護 を・・・・
《 ほっほ~ 》
〚 俳諧人の心の中 〛
天神様も、何事もなく、
今日は、お参りも、少な
いね。
おおっ! この先で、俺
を呼んでいるぜ?。
〚 俳諧人 〛
おはようございます。
どうぞ。
〚 お客様 〛 錦糸町駅、北口まで、
お願いします。
〚 俳諧人 〛
川の土手沿いからで、
よろしいですか。
では、メータを入れま
す。
お願いします。
今日は何事もなく平穏な
日ですね。
〚 お客様 〛
何気なく・・・・ そうです
ね。・・・・。
〚 俳諧人 〛
私は、毎朝、この天神様
に、頭をたれてから、仕
事を始めます。
〚 お客様 〛
それは、それは!。
〚 俳諧人 〛
ここの亀戸の天神様は、
九州の大宰府天満宮の
支店にあたるそうです
ね。
ここの宮司様は、お祭
り、その他、神社の行
事が終わると、そのご
報告に、太宰府の太宰
府天満宮まで、馳せ詣
でると、聞いています
よ。
宮司様も大変ですね。
私なんか、おじいさん、
曰く、
・・・・自分から数えて6
代前(延享年間の出来
事)の倅が、放蕩者で、
「読み、書き、そろば
ん」の手習い事をしな
い者が出て、読み、書
き、そろばんが出来な
いと、庄屋が継げない
と、いうことから、
一族、困り果てました。
そこで、日頃から、お
参りをし、かかわりの
ある、由緒ある九州の、
太宰府天満宮に、神み
分けの儀を申し出て、
受け入れられ、その折、
授かった御神様を“ 学問
の神様 ”と称して、村人
と共に、お奉りし、崇
拝していたそうです。
ところが、その後、
その放蕩者の倅は、
「読み、書き、そろば
ん」に精をだし、立
派に庄屋を継いだ・・
ということだそうです。
こんな、我が家の先祖
がからむ話しから、私
は、 “知恵の神様”とい
われる天神様を、敬い、
日常、お参りをしてか
ら、仕事始める日々と
なりましたよ。
〚 お客様 〛
それは、それは、天神様
は、ご利益の多い、智恵
の神様ですね。
はい、そこでよいです。
〚 俳諧人 〛
いや~、我が身の話しを
している内に、着いてし
まいました。
すみません。
《ガシャ》
〚 俳諧人 〛
ええ~と、運賃は・・・円に
なりました。
お忘れ物に、気をつけて
ください。
ありがとうございまし
た。
〚 お客様 〛
お世話になりました。
ありがとうございます。
『東京漫談笑 NO2』
【 浅草寺の白金の観音様 】
《 胸な騒ぎ 》
お~い、ここはどこだ!
きまっているじゃない
か!
東京といえば、浅草よ
“ ここは、浅草の奥浅草の
千束通り ”よ。
〚 俳諧人の心の中 〛
浅草といえば浅草寺、三
社祭、一寸八分の白金の
観音様だべ。
一寸八分の観音様は、白
金というではないか。
そんな代物が、千年以上
も前にあったろうか。
不可解な語り部だべ。
《 ほっほ~ 》
〚 俳諧人の心の中 〛
人は、チョロチョロ歩い
ているね。
しかし、手が上がるふう
は、ないな~。
朝だというのに、カバン
一つ持って、出勤する
スタイルの若者は、いな
いな~。
ここは、中高年の町だ
べ。
〚 俳諧人の心の中 〛
おぉっ~!俺を呼んでい
るぜ!。
〚 俳諧人 〛
おはようございます。
お待たせいたしました。
どうぞ。
〚 お客様 〛
浅草駅に、お願いしま
す。銀座の浅草駅です。
〚 俳諧人 〛
じゃあ、馬道を右でよろ
しいですか。
はい、それではメータを
入れます。お願いたしま
す。
〚 俳諧人 〛
人が、チョロチョロ歩い
てなかで、やっと、お客
さまに会えましたよ。
〚 お客様 〛
何気なく・・・・そうでした
か・・・・。
〚 俳諧人 〛
浅草寺には、一寸八分の
白金の観音様は、ありま
すかね。
あれだけ、三社祭りで、
おお騒ぎするんですから
ね~。
あるんでしょうね~。
〚 お客様 〛
それは、どうですかね!
お寺さんは、複雑なと
ころですからね。
〚 俳諧人 〛
なるほど。
この間、酔っぱらったお
坊さんを乗せまして、聞
きましたところ、そんな
もん、ないんじゃないか
とか言ってましたよ。
・・・・観音様は、秘仏だか
らな~ 。僧正様は、別と
して、 俺達にも、秘仏だ
からな~。
〚 お客様 〛
ふむ~。なるほどね。
〚 俳諧人 〛
しかし、気になります
ね。
〚 お客様 〛
このまま、丸ノ内ビルま
で、行ってくれないか、
真っ直ぐだから。
〚 俳諧人 〛
えぇ~、はい、このまま
ですね。分かりました。
〚 俳諧人 〛
そうそう、さきほどの、
観音様の話しでね、
いゃ~、この間、暇な
とき、橋場、清川辺り
を、 散歩していましたら、
人だかりのしていた、 お
寺さん(長昌寺)があっ
て、気になり、そこを覗
いてみたんですよ。
その日は、お寺さんの縁
日ということで、人々が
来ていたようです。
そうしたら、そこの住職
が、私に近づいて来て、
なにかを説明するかのよ
うに、話 しかけてきまし
たよ。
住職がいうに
・・・・今日は、檀家の
方々が来て、開祖僧正さ
まの、御縁を祝って来て
います。
あなたは、どなたかな。
いゃ~、実はね、年に数
回、このお寺を尋ねて来
る方々が、いまして。
・・・・その方々は、小説
家の松本清張の調べもも
のノートを見て、来られ
ます。
一寸八分の白金の観音様
の所在を、探し求めてい
らっしゃいます。
・・・・その類かと思いま
して。
つづいて
・・・・当寺の開祖の住職
は、元々は、浅草寺三
代目の住職でした。
ところがこの住職様が、
天台宗の宗派から、禅宗
に帰依されました。
その結果、このまま、
天台宗の浅草寺に留まる
ことは、出来なくなりま
した。そこで、この長昌
寺を開山し、開祖されま
した。
この開山の折、一寸八分
の白金の観音様も、その
住職の転居に従い、ご同
道され、こちらのお寺に
来られ、鎮座されまし
た。
さらにつづけて、
・・・こちらのお寺では、
年の瀬の12月初めに、一
寸八分の白金の観音様の
縁日が、催されまして、
御開帳の行事がありま
す。
その折、約1メートルの
至近距離で、一寸八分の
白金の観音に、お参りす
ることが出来ます・・・・
と。
小説家の松本清張も、た
いした地獄耳を持った人
ですね。
こんなところにも小説の
ネタを求めているとは
~。
サスペンス「浅草の白金
の観音様」とでも題し
て、いにしえの時 代に
挑戦するつもりでした
かね。
あるいは、昔し話しの講
和でも、書くつもりでし
たかね。
〚 俳諧人 〛
オッ~ 、だいぶ話しが膨
らみましたね。
因みに、「鐘ヶ淵」の名
称は、この長昌寺の吊り
鐘が、大洪水で流され、
その鐘は隅田川の一角に
流され、そこを称して、
鐘ヶ淵と、云うそうで
す。
その後、長昌寺には、将
軍吉宗によって鐘が、寄
進され、現存する鐘は、
その鐘だそうです。
話が長くなってしまいま
した。
え~っと、丸ビルは、行
幸通り側で、いいですか。
《 ガシャ 》
〚 俳諧人 〛
運賃は・・・・円になりまし
た。
忘れ物に気をつけて下さ
い。
ありがとうございまし
た。
〚 お客様 〛
つい、話しに、のめり込
んでしまった。
ありがとう。
『 東京漫遊談話 NO3 』
【 皇居前広場の松 】
〚 胸な騒ぎ 〛
おや~、ここは、東京の
ど真ん中、丸ノ内だ!。
皇居の正門だ!。
丸の内と言えば、岩崎弥
太郎さん。この方に尽き
るね~!。
江戸幕末、明治維新の方
よ。
三菱財閥の創始者よ!。
恐れ多い方よ!。
〚 俳諧人の心の中 〛
いや~、ホワイトカラー
族が、一杯だ。黒いスー
ツに、白いワイシャツ、
まちまちのシュクシュク
とした、ネクタイがきま
っているぜ。
ここは、東京ビジネス街
の中心地よ。
お利口さん達の、メッカ
だべ。
日本のビジネスの歯車達
だ。頼もしいね。
・・・・話し相手がいない
かな~。
《 ほっほ~ 》
〚 俳諧人の心の中 〛
人は、ゾロゾロ歩いてい
るね。しかし、手が上が
るふうは、ないな~。
打ち合わせは、ないかの
かな。
もう大手町交差点まで、
来てしまった。
おお~っ!。俺に用か
な?。
交差点だ。お客かな?。
〚 俳諧人 〛
お待たせしました。
どうぞ。
〚 お客様 〛
お願いいたします。
赤坂見附まで。
〚 俳諧人 〛
虎の門経由で、よろし
いですか。
はい、それではメータ
を入れます。
お願いします。
人が、大勢歩いている
なかで、やっと、お客
さんに会え ましたよ。
〚 お客様 〛
・・そうでしたか・・・。
お願いします。
〚 俳諧人 〛
この皇居の広場の松の枝
っぷりは、見事ですね。
これだけ多くの彩々な枝
っぷりを見ることが出来
る所は、この皇居しかあ
りませんね。
庭師が、立派で、才能豊
かな方々なのでしょうね
。
〚 お客様 〛
それは、どうですかね!。
〚 俳諧人 〛
ふぅ~ん。なるほど。
ところでお客さん知って
いますか。
なぜこの皇居の広場に松
が植えられているか、
ご存じですか・・・・。
このあいだ、ある方が言
ってましたが、・・・・御前
と老中との御前会議のあ
る日、将軍に、様々なお
伺いをたてるなか、その
なかのひとりの老中は、
「この広場に、何の 木を
植えましょうか。」とお
尋ねし、また一人の老
中は、「誰をお呼びしま
しょうか。」とお尋ねし
ました。将軍は 、
「『まつ』にしよう」と
仰せられたというこ と
で、その老中等は、『
まつ』と聞いて下がった
・・・・。
とかいうことです。
老中達が、お伺いを立て
てお聞きした返事が、『
まつ』で重なってしまい
、その後、広場には、
松の木が植えられたと
言ってました。
〚 お客様 〛
ふむ~ん。松の木につい
ての小話しですね。
はっはっはぁ~。
〚 俳諧人 〛
はっはっはぁ・・・・。
小話しですね。
〚 お客様 〛
見附の鹿島に行って下さ
い。
〚 俳諧人 〛
鹿島ですね。
はい、分かりました。
《 ガシャ 》
〚 俳諧人 〛
運賃は、・・・・円になり
ました。
忘れ物に気をつけて下
さい。
ありがとうございまし
た。
〚 お客様 〛
つい、小話しに、聞い
入ったよ。ありがとう。
『東京漫遊談笑 NO4』
【 日本橋の金座通り 】
《 おほう~、両国を渡ると~ 》
おや~この道は、徳川様
を今に残す所だ~!。
江戸の政所の源だ!。
金座通りだ!。恐れ多い
、江戸の名が残る、通り
だ!
〚 俳諧人の心の中 〛
へぇ~、もう、はやくも
、 語るに恐れ多い、江戸
、 徳川家康様に、お目に
か
かるとは~。
ここは、江戸の町民、武
士達の懐の町よ。
気位の高い町だべ。
気が、急くよう~。
《 ほっほ~ 》
〚 俳諧人の心の中 〛
もう、久松町に差しかか
るところまで、きてしま
った。
人は、歩いているののね
~。
しかし、手が、上がらな
いな~。
もう、久松交差点まで来
てしまった。
早く話し相手が、見付か
らないかな。
うむ~、俺に用かな?。
お客かな?。交差点先で
、手を上げている!
〚 俳諧人 〛
おはようございます。
お待たせいたしました。
どうぞ。
〚 お客様 〛
お願いします。大手町ま
で。
やっと空車が来たよ。
良かった、助かったよ。
〚 俳諧人 〛
それは、それは。
真っ直ぐでよろしいです
か。
はい、それではメータを
入れます。
私も、やっとお客さんに
会えました。
良かった、助かりました
。
〚 お客様 〛
そうでしたか・・・・お互い
さまでしたね。
お願いします。
〚 俳諧人 〛
この道は、日本経済の事
務方、ビジネスのメイン
デッ シュの方々が、通う
道筋ですからね。
お客が、いないと心配に
なります。
〚 お客様 〛
それは、どういうことだ
ろう~!。
〚 俳諧人 〛
イャ~、ここは、日本橋
の金座通りですからね。
〚 お客様 〛
えぇっ~。この通りは、
金座通りというのかね。
知らなかったよ。
〚 俳諧人 〛
え~え~。この通りは、
金座通りといいまして、
日本橋の金座(日銀)に
、向かっていますよ。
今は、その金座は、日銀
と言っていますがね。
〚 お客様 〛
なるほど。聞きたいね。
中身の話しを。
〚 俳諧人 〛
はあ~。
江戸幕府の後、明治とい
う世に、地方の農家の出
身で、渋沢栄一という、
もの覚えと、雰囲気を読
むことに長けた、秀才が
いました。
その渋沢栄一が、この金
座を変えて、銀行の銀行
として、日本の中央銀行
とするところの銀行つま
り、日本銀行を作ったの
です。
その名残凝りが、残って
、金座通り、と称されて
います。
ここで、重要なことは、
金座という、町があるこ
とです。
遥かの遠くの駿河の駿府
城下町に、金座町という
、町があることです。
徳川家康が、大和朝廷政
の一つの所管の職である
、征夷大将軍の将軍職を
、秀忠に譲り、江戸を離
れ、駿府に移りました。
この駿府城下町に、金座
、を開きました。貨幣
(大判小判の金貨)の造
幣所の一貫ですね。江戸
にも、金座を開いていま
す。
今、駿府の、その地の町
名を、葵区の金座町と称
しています。
これは、当時も、あい対
する相手との取引の対価
として、金の貨幣を、目
安にしていたことが、
分かります。
ここで気を付けなければ
ならないことは、政務の
大将を噂するとき、よく
、豊臣秀吉については、
金貨に、お惚れ、戯れる
姿が流され、我々の脳裏
に浮かびますが、一方、
徳川家康についは、これ
からの征夷大将軍の政所
には、貨幣の鋳造と管理
が、欠かせないことを、
考えています。
この金座の開設を、駿府
でも行っていることは、
治世には、重要で、大切
だということを、示して
いると考えられます。
ことの意味を理解し、
把握して、金座の開設を
行っていたのでしょう。
徳川家康は、大名として
の軍勢の力の強化ではな
く、世の中の物流が、
治世にとって、要になる
と見ていたことが、
伺えます。
城下の町中の人々が、
物流に支えられ生きるこ
とを理解し、把握してい
ます。
船等を活用した、物流
輸送の為の運河拡充の治
世策は、根拠ある所業で
す。
戦乱の世が終わったこと
を、世に示していたこと
と言えます。
徳川家康という方は、
要を把握した方で、日本
の歴史上、素晴らしい
英才でしたね。
これまで、大和朝廷の
政所という、一つ所管
である征夷大将軍の将軍
職(領地の支配と分配に
かかる権限、律令制下で
は、守護職が持っていた
権限)を、源平の戦い以
来、争って、400年以上の
長い年月を、戦乱の世と
してきました。
これら戦乱に、終止符を
打った、素晴らしい方で
したね。
そしてまた、近代、現代
につながる見通しの出来
た、
歴史上、類を見ない、治
世者でしたね。
それまでは、手段を選ば
ない、無法な、ごろつき
的な連中が、大義名分を
掲げ、天下人たらんと武
力を振い、権勢を張った
、大名、又は、大和朝廷
以来の守護職を争い、権
力の主たらんと、争奪を
繰り返して、戦乱を繰り
返しましたからね。
・・・・それから、1600
年から200年の年月を
経過した、幕末後の時代
(明治時代以降)に、ルネ
サンス、産業革命を経て
いた、欧州諸国を外遊し
、見聞きした、渋沢栄一
達は、我が意を得たりの
心境で、内政への取り組
みを、開始しました。
ここで、彼らは、政府と
して、統一した、紙幣の
発行、管理等の部署が、
政府には、重要と考え政
府の銀行ともいえる、
日本銀行の設立を、目論
んだと思いますね。
・・・・すでに徳川家康
は、300年以上も以前
(江戸の初期)に、お上
(政府=幕府)には、お
上が中心となった、対価
取引の所在(金座)が、
必要かつ需要であること
を、考えていたと推察出
来ます。
よって、この金座通りの
、金座は、徳川家康が、
歴史に示した 史実と言え
ます・・・・
〚 お客様 〛
通りの名から、徳川家康
の歴史を学びましたよ。
〚 俳諧人 〛
いっ気に、まくしたてま
した。
出勤の忙しい時に、失礼
しました。
〚 お客様 〛
とんでもない。
なかなか聞けない話し
で、楽しみましたよ。
〚 俳諧人 〛
大手町は、経団連です
ね。
分かりました。
《 ガシャ 》
〚 俳諧人 〛
料金は、・・・・円になり
ます。
忘れ物に気をつけて
下さい。
ありがとうございまし
た。
〚 お客様 〛
ありがとう。
また、機会があったらお
願いするよ。
『東京漫遊談笑 NO5』
【 越後屋(三越への)の変化 】
《 おゃおゃ 》
人形町にしては、年配
が、歩いているな~。
大丈夫かな!
おぉ~、車の中では、手
助けは、できないし・・。
〚 俳諧人の心の中 〛
杖を、持っているな、大
丈夫だろう。
おゃ~、何と、杖を振っ
ているではないか。
おぉ~危ない、杖は、地
面につけて、握らなきゃ
~な。
い~やまてよ、俺を呼ん
でいるのかな。
《 ほっほ~ 》
〚 俳諧人の心の中 〛
気が付くのが遅くて、申
し訳ない。
やはり、俺を呼んでいる
ようだ。
なにか、車で移動したい
んだな。
近くに寄せよう。
〚 俳諧人 〛
お待たせしました。
どうぞ。
ゆっくり乗ってくだ
さい。
〚 お客様 〛
いやいや・・・・・、ありが
とう。
変なところで、止めて
すまん。足が悪くてね。
〚 俳諧人 〛
気が付くのが、遅くてす
みません。
〚 お客様 〛
よい~しょ~、お願いし
ます。三越までな。
助かった、助かったよ。
歩ける距離だろうが、
ワシは、見ての通り足が
悪くてね。
〚 俳諧人 〛
それは、それは。真っ直
ぐでよろしいですね。
はい、それはメータを入
れます。
〚 お客様 〛
いや、君、三越は、前身
を越後屋ということは、
知ってるね。
〚 俳諧人 〛
はい、知ってますが。
なにか~。
〚 お客様 〛
イヤイヤ~、越後屋に
つては、面白い話が、あ
るんだよ。
〚 俳諧人 〛
ほおっ~。その話とやら
を、お聞きしたいですね
。
〚 お客様 〛
う・・・、昔しは、品物を
売るときは、お客、番
頭とが、品物を前にお
いて、値の交渉をする
んだよ。
お客の品定めと、それを
受けた番頭との間で、値
の交渉を行い、あぁ~で
もない、こでもないと言
って、それぞれの言い分
を、いい合い、しながら
、欲しいとか何とか言っ
て、交渉するんだよ。
そこで、合意がなると、
その値で、売り買いが成
立し、売り渡しが、行わ
れたということだよ。
大変だったようだ。
〚 俳諧人 〛
お客と番頭さんの駆け引
きは、落語的で、面白い
ものでしたでしょうね。
今は、お客の値引き交渉
が、残っては、いますけ
どね~。
〚 お客様 〛
そこで、越後屋は、考え
たね~。
品物に“値札”を付けて、
お客を待つことにしたん
だよ。
お客と番頭との交渉ごと
を“ 値札 ”で、解決しお
ったよ。
お客は、最初から“ 値札
”を見て、この値段なら
と思い、面倒な番頭の交
渉もなく、買いを決めら
れるよう、になったんだ
よ。
越後屋が、三越デパート
になった、由縁だよ。
〚 俳諧人 〛
はあ~。凄いことです
ね。
“ 値札 ”という、今は、
当たり前のことが、お客
と、番頭とが、品物を前
にして行った値踏み交渉
を、一気解決し、お客の
信用を得て、品物の多販
を、可能にした、幕開け
ですね。
越後屋から、三越デパー
トへの、変化ですね。
〚 お客様 〛
三越デパートから、こん
な歴史を話しを、知り、
学んでいけるよ ~。
〚 俳諧人 〛
いや~。ご老から、凄い
ことを、学びました。
しかし、ご老は、見聞き
が、若くて、素晴らしい
ですね。
お年は・・・・
〚 お客様 〛
とんでもない。若くない
よ。もう、90を越えてい
るからね。
〚 俳諧人 〛
はあ~。お元気ですね。
恐れ入りました。
こちらでよろしいです
か。
《 ガシャ 》
〚 俳諧人 〛
料金は、・・・・円になり
ます。
忘れ物に、気をつけて、
ゆっくり、降りて下さ
い。
ありがとうございまし
た。
〚 お客様 〛
ありがとう。
ではまたな。
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